データという財産【アスクラボメールマガジン2019年8月号】

既存のビジネスモデル・商材や、既存顧客からの収入は永久的に続くものではありま せん。それらにはすべて市場で通用する時間的な制限(食品でいうところの賞味期限) があるからです。そのため、常に新たなマネジメントとビジネスモデルが求められるのです。

今から15年程前の事です。既存のビジネスモデルが賞味期限を迎える前に、変化の 速い市場のニーズをつかんで他社に先行するためにはどうするかと考えた私は、現場で接しているスタッフの情報が非常に重要であり、その情報が将来大きな武器になると判断しました。
そして、会社の全スタッフ(営業、SE、管理部門、役職者、もちろん私も)すべてが、日報を主とした日々の活動情報の登録をスタートしました。 その仕組みが自社開発のPROナビ(※)であり、2019年7月末現在で約50万件の 登録情報をデータとして保持するに至っています。

■情報入力のためのマネジメント

顧客情報や商談情報、顧客とのやり取り、社内会議や打ち合わせの情報などのデータを保持し、それを会社の武器にするためには、まずスタッフが情報を入力することから始まります。そして情報の入力のためには、情報を入力したスタッフへの恩恵や、情報を登録することでスタッフ自身が助かる、あるいは情報を登録したことでスタッフが不利益を被らないマネジメントや風土が必要です。具体的には次のような視点による情報登録です。

1) 義務による報告ではなく事実の報告としての情報登録
市場で起きていること、現場で起きていることを管理者や上司へ知らしめるための情報登録。

2) 自身を守る情報登録
新しいビジネスや新規開拓は実績数字にすぐには反映されないため、数字以外の行動を知らしめ、評価してもらう(自身を守る)ための情報登録。

3) 導入後の効果の検証のための情報登録
導入した機能に対するお客様の意見、導入した機能をどのようにお客様が運用しているか等のサポート対応の情報を登録し、ソリューション情報として活用。

4) 他部署の業務を相互に理解するための情報登録
個々の情報が共有されるため、他部署の業務も理解することが可能になり、「自分の部署が一番苦労している」、「自分が一番大変だ」という主観から脱却し、組織連携の強化につながる。

全スタッフには情報登録という「負荷」がありますが、情報共有のおかげで社内会議が非常に少ないのも弊社の特長です。
そして、データの登録による情報共有は、組織連携はもちろん自身の身を守ること につながります。管理者側も、データに基づくマネジメントが可能となるため、
データが企業の財産となるのです。

■AIとPROナビの大量データ

今回、PROナビに搭載した「リスク日報通知機能」は、PROナビに蓄積された大量のデータがあったからこそ実現したアイデアです。 AIの技術はあるが検証のためのデータを持っていなかった企業と、AIの技術は持っていないがPROナビによって大量のデータを蓄積していた弊社がコラボし、共同開発を行った結果が「AIによるリスク日報通知機能」(特許申請済み)です。
まさに「データという財産」だったのです。

今後も企業運営にかかわる情報を蓄積し、データという財産を活かして新たな ビジネスモデルや商材、新たなマネジメント方法を構築したいと考えています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙