経験の価値・勘所 一次情報にあたる【アスクラボメールマガジン2026年6月号】

経験の価値・勘所 一次情報にあたる

私が学生時代に担当の先生から最も強く指導されたのは、「一次情報にあたる」とい うことだったと思います。一次情報とは、自身の体験や調査によって直接的に得た情 報です。学ぶことが本分の学生時代はそこに十分な時間をかけることができました が、社会人になると既存の資料をいかに効率よく説明資料としてまとめるか、という ことの方が重要になりました。

自らデータを採る場合、調査項目を作って対象を設定して調査や集計を行い、文献を 集めてくることは、時間と労力がかかる作業でした。しかしそれは検討や試行錯誤の 時間でもあり、先生の指導や他の学生からの意見を聴く時間も含め、調査対象につい て理解を深めるための有効な時間だった
と思います。一方で、ネット検索や生成AIでの情報収集は資料を一瞬で集めることが できます。現在では更にわかりやすく要約して提供され、人間側の理解や納得の深度 が追いつかないのではないかという懸念もあります。

今後、資料作成やコーディングにますます生成AIが活用されていくことになると思い ますが、AIによる成果物には誤情報やハルシネーションも含まれている可能性がある ため、人間によるチェックはかかせません。その部分でこれまで時間をかけて培って きた経験値が活かされると考えて
います。大量の情報を短時間で整理できる処理能力が高まる分、反対に個人が「時間 をかけて五感を通して腹落ち」した情報やスキル、そして
経験値から導き出されるリスクに対する「勘所」は今後さらに付加価値がつくのでは ないかと期待する部分でもあります。

新しい技術の習得は若い世代の方が得意な傾向があると思います。しかし、少子高齢 化で「労働力不足」対策が必要な時代、定年の更なる延長が予想されるので、(自分 も含め)長く社会人をやってきたメリットを生かさなくてはなりません。色々なこと を経験された方が組織におられるのは心強いことでもあります。当然ですが、ネット 情報から対応を決められることばかりではありません。

組織の運営や商談、サポートに至るまで、人間同士のやりとりである以上、「阿吽の 呼吸」や「長年の五感」を通した経験による業務上の「勘所」は、リスク管理等の場 面において重要な価値があるものだと考えます。今後はデジタル活用と経験値のスキ ルトランスファーの両方が必要となるでしょう。

アスクラボ株式会社 東京支店 川嶋美由紀