北風と太陽【アスクラボメールマガジン】

北風と太陽が、どちらが強いか争いました。
そこで、旅人の上着を脱がせた方が強いということで決着をつけようと競いあいました。

北風は旅人に向かって力の限り風を吹きつけました。しかし、吹けば吹くほど旅人は上着をしっかり押さえつけて、上着を脱がせることはできませんでした。
次に、太陽は旅人に、さんさんと日を浴びせました。すると旅人はあまりの暑さに自ら上着を脱ぎました。

これはイソップ物語の「北風と太陽」という有名な話です。
多くの人が知っている話だと思いますが、ここには奥深い教訓が含まれています。

営業力強化の名目においてSFAを導入している企業のほとんどが、実績数値中心の管理を行い、数値達成出来ていない部分や不足している受注金額を指摘して、現場スタッフを叱咤するマネジメントを行っています。

そのような企業では、次のような例が多々あります。
管理者は現場スタッフに、事実を情報として入力するように指示していますが、現場スタッフはなかなか事実を入力しません。なぜなら、管理者の意図に反した内容が入力されている場合、「怒られる」、「叱咤される」、「責められる」という結果になるため、事実を隠し、つくろった情報を入力しているのです。

「組織として現場を支援する(助ける)」、「チームで問題を解決する」というマネジメントを行えば、現場も事実を記載します。

また事実を入力したことで、組織として現場を支援してもらい、チームで問題に対処することで「自分が助かる」、「悩みが少なくなる」、「孤独感がなくなる」ことが実感できれば、自ら進んで事実を入力することになります。会社としては「本当の事実」に基づいた、言い換えると市場のニーズにマッチした戦略を立てることができ、結果的に営業力がアップすると思います。

もちろん会社にとって数値を管理することは必須であり、多数のスタッフを抱えていますし、色々な性格のスタッフが存在しますので、叱咤激励のマネジメントも時と場合、スタッフのタイプによっては必要です。
しかし、数値管理や叱咤激励が強すぎては、市場の変化に組織が追従できなくなる危険性があります。 

営業力強化は現場を管理するだけでは実現しません。
「北風と太陽」の例えのように、現場を支援することで「自らを動かす」という、「太陽のマネジメント」が重要なのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙