企業として、どのような商品を持っているか、あるいはどのような顧客をどれくらい持っているかということは、ビジネスにおいて有利・不利に影響することは当然です。

しかし、現在の市場を素直に見てみると、その有利・不利が従来のように機能せず、場合によっては有利と思われることが不利に、不利と思われることが有利に働き、まさに逆転していると感じることが多々あります。

企業は、商品を提供し、その対価を得て企業そのものを存続させていますが、その商品が付加価値の高いものであったとしても、永久に高いままで継続することはありえません。

商品の価値にも市場で通用する時間的な制限、つまり、食品等で言うところの「賞味期限」があるからです。

付加価値の高い商品を持つ企業は、その商品に頼る収益モデルに慣れており、それらの「賞味期限」が過ぎて付加価値が下がったとしても、従来の営業スタイル、従来の組織、従来のマネジメントを変えられず、結果、市場ニーズの変化に対応できない=営業成績の不振、業績悪化という事態を招きます。

また「多くの顧客を持っているから大丈夫!」という企業も、その顧客は過去のビジネス環境・条件の下で顧客であったというだけで、現在の変化著しいビジネス環境・条件の下で、従来通りの営業スタイル・マネジメントで対応していては、前回のメルマガで「既存顧客という幻想」と指摘したとおり、顧客を顧客として確保し続けることはもはや不可能です。

現場のスタッフの多くは顧客の変化に気付いています。しかし、管理する側の多くはその変化に気付かないか、気付いていても認めようとしません。これは付加価値の高い商品を持ち・多くの顧客を抱えていた「良かった頃」を知る弊害と言えるか
もしれません。

上層部からの指示に従い、実績数字の呪縛から逃れられず、今までどおり数字中心の管理・マネジメントを行うため、結果として現場スタッフとの間に大きなギャップが生じることとなります。そのギャップは、管理者と現場スタッフの信頼関係にも影響するため、企業経営においても非常に危険な状況に陥ります。

企業は市場に必要とされなければ存続できません。企業が市場に必要とされ、収入を得るための根幹とも言える、市場の意識や求めるもの、商品の価値は大きく変化しているにもかかわらず、マネジメントや組織・管理体制、根本のコスト構造が以
前のままという企業が多いのは事実です。

このような状況では、現在の市場が求めている商品を考え、また市場が求める価格に標準をあわせて営業スタイルを構築し、それに同期したマネジメントを展開する新興勢力企業が、隙をついて台頭することも当然の結果と言えるのではないでしょうか。

過去にドル箱として多くの収益源・多くの顧客を持っていた企業と、それらを持っていなかった企業が市場で生き残るための戦いをする現在、持っていたため不利になり、持っていなかったため有利になる状況が生まれていることは事実なのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙