「売れるまでやる!」 ~会社を救ったPROナビの『見える化』~【アスクラボメールマガジン】

以前のメルマガでも紹介しましたが(2008年3月3日分)、弊社は岡山県北部の津山市という人口約10万人の地方都市に本社があります。地方の小都市という限られた市場において、ユーザーに対して真摯に向き合い、一生懸命に仕事を
こなしてきました。
しかし、7~8年ほど前からビジネス環境が変化しはじめ、既存のユーザーの中でもキーとなるユーザーからの仕事が徐々に少なくなってきました。

そんな中、弊社の社員は限られた条件の中でも、何とか予算を達成させようと真面目に努力をしていましたが、会社全体に閉塞感が漂い、会議を行っても前向きな意見は出ず、内部の人間関係がギクシャクしていくのを感じていました。

私は「このまま同じビジネスを続けていくと、徐々に会社の収入は少なくなり、結果的にスタッフのモチベーションが下がり続けてしまう。」と会社の将来に危機感を持ちました。そして、今後どのようにすれば会社が生き残っていける
のかということについて考えました。

津山という地方都市の限られた市場では、ユーザーのオーダーに基づくシステム構築の仕事が将来ますます減少していくというのは明確でした。
そこで、私は今までの経験を生かしたパッケージソフトを作り大きな市場へ打って出ようと決断しました。

そうして、組織営業力強化のための営業支援システム「PROナビ」(プロセスナビゲーションシステム)のコンセプトとソフトウェアが生まれました。

「PROナビ」という商品は出来上がりましたが、スタッフのほとんどがPROナビを大きな市場で販売すること、PROナビで収益をあげるということに懐疑的でした。
しかし、この時私はある確信を持ってスタッフへこう言いました。

「心配するな、売れるまでやるから」

これは、根性論や精神論ではなく、この「PROナビ」を徹底的に活用することによって、間違いなく売れるようになるという確信があったからでした。

「PROナビ」を徹底的に活用するとは、PROナビには体系的に活動履歴を残すことができ、社内でその情報を共有することができるため、売れなかった理由や、価格、機能を記載して残し、またプレゼン内容の変化、提案資料の変遷、その時その時の営業スタイル、コンペティターに負けた理由など全ての営業活動の履歴を残し、この中に記載されている問題を一つ一つ解決していくという活用方法でした。
このPROナビの徹底活用こそが、PROナビを売れる方向へ必ずや導いてくれるだろうと私は確信していました。

この確信を元に東京を拠点にして販売をスタートさせました。しかし、最初の1年半はほぼ売上ゼロの状況でした。

売上はゼロでも、事務所を置いて営業スタッフが活動している以上、事務所の貸借料・人件費をはじめ、日々・月々の経費は必ずかかります。数字だけを見ると、岡山のスタッフが限られた小さな市場でがんばった売り上げを売上ゼロの東京事務所のためにつぎ込んでいるようにも見えます。岡山のスタッフの中には、少なからずそのような不満もあったかと思います。
また東京事務所のスタッフは、会議のために本社である岡山に帰った際、営業成績として見える数字はゼロのため、肩身が狭い思いをしていたかと思います。
しかし、PROナビの徹底活用で、東京事務所だけでなく岡山の本社も含めて、営業活動や行動を社内の共有情報として、全てオープンにするようにしました。そうすることによって、現状は数字が上がっていなくてもプロスペクトは
これだけ持っている、あるいは、このような資料を作ってどこの企業にどれだけアタックしている、今日はどことどこの企業へアポイントをとった、明日はこの企業へのプレゼン等、数字以外のことが社内に見えるように(見せられるように)なりました。
このPROナビによる「見える化」によって、実績数字では測ることのできない行動が見えて、数字以外の行動に対する評価も得られ、結果として岡山での不満も表出することなく協力が仰げ、東京事務所のモチベーションも下がらずに
済みました。

そして、先の確信は実を結び、問題を一つ一つ解決することによって、受注へとつながりはじめました。

東京に出て、PROナビの販売を始めてからほぼ4年経ちますが、販売は軌道に乗りつつあります(もちろん油断は出来ませんが・・・)。

PROナビによって、会社の「見える化」を行ったことにより、弊社の抱えている問題点や進むべき道が浮き彫りになりました。「見える化」によって、会社は救われたのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙