「お互いを知る」というチームプレー【アスクラボメールマガジン】

以前の弊社は、管理者とスタッフ、営業と技術それぞれが、決して仲が良いとは言えず、社内の雰囲気が重たいと感じることがありました。
各部署・各立場で予算に追われ、他部署や他のスタッフを気にするどころではなかったため、それぞれが「自分の部署(自分)が社内で一番忙しくて一番大変だ!」と思い込み、「自分の部署はこんなに大変なのに、他の部署(他のスタッフ)は楽をしているのではないか?」などと猜疑心を持っていたことが、重たい雰囲気を生んでいたのだと思います。
そのような状況もあってか、お客様への対応も企業としてまとまりに欠けるものとなっていました。
会議の場で、お客様への対応方法を話し合ったにもかかわらず、それぞれの部署で同期がとれない行動をしてしまい、結果、受注に至らなかったり、トラブルが発生したりといったことがたびたび起きていたのです。
これは、「会議で話し合ったのだから、他の部署(他のスタッフ)も自分と同じように考えているはず。」という思い込みで、各自が行動していたからだと思います。
いずれにしても、他の部署や他のスタッフの状況が、お互いにつかめない・わからないという日常を過ごしていた結果であったと思います。

現在弊社では、営業担当はもちろん技術担当からサポートスタッフに至るまで、当然私も含めて、全ての社員が日報を書いています。そしてその日報には、自分が感じたことをできるだけ「所感」として記載するように依頼をしています。

ある時、客先で私がプレゼンを行う機会がありました。弊社側は営業スタッフと管理者が同行し、お客様側の出席者は、H社長、K専務、A総務部長、B営業部長の4名で、雑談も交えながら良い雰囲気でプレゼンは終了しました。
当然ながらその日の日報は、私、営業スタッフ、管理者の3名が、それぞれそのプレゼンについて書くことになります。
日報を確認してみると、三者三様の所感を書いており、お客様に対して各自が感じたことにかなり違いがありました。
その時のそれぞれの日報はこうでした。

私:『お客様はこの商談に本気であり、今後もリソースを費やしても良い商談である。キーマンはA総務部長であると感じた。』
管理者:『和気あいあいとした雰囲気ではあったが、お客様は本気ではないのではないか?あまりこの商談にリソースを費やすべきではないように思う。』
営業のスタッフ:『お客様は本気のように思える。キーマンはK専務ではないか?」

なぜ私がこのように感じたのか?
なぜ管理者は私が感じたようには感じなかったのか?
営業スタッフはお客様の何を見てそう感じたのか?
三者三様の日報を目にして、私は早速、お互いの所感の違いについて話し合う機会を設けました。

お互いに意見を交換することで、お互いが見落としていた部分を補完し、複数の視点で一つの事象をとらえ、共通の認識として情報共有することができます。
そして、お客様対応について部署・企業としての統一した意識を持つことになり、結果として商談過程で発生するトラブルの芽を摘み取り、ボタンの掛け違いをなくすこともできます。
さらには、相互に意見を交換するこの話し合いこそが、人材育成の一環となっていることにも気付かされました。

全スタッフが日報の運用をはじめて以降、各担当者が互いの日報を見ることで、お互いの仕事の内容がつかめ、また、自分の部署や自分の状況をアナウンスできるようになりました。その結果、「忙しくて大変なのは自分の部署だけではない、自分だけが大変なわけではない」ということに気付くようになり、他部署のことを気にするどころではないといった「重い雰囲気」は解消されました。

お互いの情報をオープンにして、お互いを知ること、知ろうとすること。これが一番のチームプレーになると思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙