消滅【アスクラボメールマガジン】

売り上げが落ちてくると、人件費削減のためのリストラや研究開発費削減等の対策をとる企業が多いのですが、本当にそれが売り上げ減少への対策になるのかどうかは疑問です。

多くの会社では、企業成績が悪くなると目先の実績数字を上げるために、より自社都合の予算進捗管理を強め、その結果、管理者や現場スタッフは既存の取り引きのあるユーザの売り上げをあてにして接触します。

しかし現在、市場で起きていることは、今までにあてにしていたユーザからあてにしていた発注が来なくなっているという現実です。

○これは、財務的には非常に優良なある企業の例です。

20年ほど前は150~200名の社員数でしたが、売り上げが下がるたびにスタッフを削減し、現在では30名程度になっています。赤字は出していません。
このまま将来を予測すると、この企業はどうなるのでしょうか?

財務的に見てこの会社は倒産しないかもしれません。しかし淘汰された結果、消滅してしまうと私は思います。

なぜなら、このような状況となった原因が、市場の縮小による結果だからです。

需給ギャップ15兆円と言われる供給過多の状況下で、同じユーザ、同じ商品・サービス、同じビジネスモデルを続けたままで、経費削減という対策を打っても、それは売り上げ減少への根本的な対策にはなりません。

企業が生き残るためには、縮小する市場に対して新たなニーズを起こすか、あるいは新たな市場を開拓し、それぞれに合ったビジネスモデルを構築する以外にないのです。

例えば、今までたくさん魚が釣れた場所で、年々魚が釣れなくなったとします。
いくら釣りをする時間を長くしても、釣る回数を増やしても効果は出ません。

なぜならその場所に魚が少なくなったのです。それでも魚を釣るためにはどうしたらよいのでしょうか?魚がいる他の釣り場を探すか、今まで魚を釣っていた場所に、魚を呼び込み集めるしか他に方法はありません。
魚がいる釣り場を探すのはビジネスに置き換えれば新規開拓であり、魚を呼び込み集める手段は新たなビジネスモデルの構築です。

魚の釣れる量にあわせてスタッフを削減していくと、新たな釣り場を探す人や、魚を集める手段を考える人がいなくなります。その結果、今までの場所で今まで通りに魚を釣るしか方法がなくなり、いずれ魚はいなくなり、釣りをやめるしかない=ビジネスとして自然消滅を待つことになります。

新たな市場を開拓する、あるいは市場に対して新たなニーズを起こすために、そしてそれらに合ったビジネスモデルを構築するためには、次のような対策が必要です。

1.新たな市場を開拓する。
2.新たなニーズを起こす。
3.自社の強み、経験・ノウハウをつかむ。
4.スタッフのスキル・特徴をつかむ。
5.ビジネスモデル変更のために必要なコストをつかむ。

魚がいなくなってからでは遅いのです。

目先の売り上げのみでなく、将来の対策としてのビジネスモデル構築のコスト投資は、自然消滅しないために必須なのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙