私たちは日々日常を過ごしていますが、何事も調子よくことが運ぶこともあれば、スランプに陥ってしまうこともあります。それと同じように、企業経営においても好調と不調の波があります。良いこと(好調)もあれば悪いこと(不調)もあるのが世の常だとしても、企業経営者としては可能な限り好調の期間を持続して不調の期間を短くしたいというのが本音です。

弊社においても例外ではありません。
弊社の業績が数字的に最も好調であった時期は、今から10年ほど前のことです。当時は汎用機、オフコンを使った流通製造メーカのSIビジネスが好調で、翌期の予算を作成した時点で黒字になることが決まっていたと言っても過言ではありませんでした。しかし、その好調の裏で不調の波が立ち始めていたのです。

弊社が好調であった時期、業績数字以外のデータや状況は以下の通りでした。

・新規開拓ユーザは皆無。

・社内において部署間で壁が生じ、人間関係が良くない。

・外部である市場の変化に目を配るより、内部の事柄に目がいってしまう。

・新たな学びや努力をしないで、既存知識で対応できるビジネスに依存。

・新規開拓より既存のお客様に頼る楽な営業。

これらの原因は、あまりにも安定した波に乗っていたことによる「油断」です。
既存のユーザに頼り、既存の言動と知識で収入を得ることができていたため、私を含めて全スタッフが無意識の内に「油断」していたのです。そのため、市場の変化に追従する改善や改良がストップしたままの経営に陥っていたのです。ビジネスの世界で改善や改良がストップすることは後退を意味します。私自身も安定した状況に「油断」はしていましたが、一方で「ビジネスはそれほど甘いものではない」という漫然たる不安も常に付きまとっていました。なぜなら、社内の様子が変わってきたからです。

・以前は常にお客様を訪問し現場の変化を知っていたベテランの営業スタッフが、  役職についたことにより社内業務が多くなり、資料やデータを重視するように なった。

・「ものづくり」を行ってきたベテランの技術スタッフが、管理者層になったこと により自らものづくりを行わず、管理意識が強すぎて指示や命令を出すことが業務のようになった。

・管理者層が、配下スタッフのできていない点や欠点ばかりを指摘するようになった。

・収益は上がっているが会社の雰囲気が良くない状態になった。

結果として私の不安は的中するのですが、不調の高波が押し寄せるギリギリのところで、過去の失敗や成功例を活かしたパッケージの開発、新規開拓および営業エリアを全国へ広げる転換を進める等、いくつかの手を打つことができたため今日があると思っています。

好調な時、人は周りに不注意になり油断します。
企業も同じです。企業がスランプに陥る原因は好調な時にこそ生じるのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙