言葉にされない感覚 〜そこに課題発見・解決の糸口がある〜【アスクラボメールマガジン2023年7月号】

言葉にされない感覚 〜そこに課題発見・解決の糸口がある〜

過去にトラブルの初期段階で対応できず、金銭・人材リソースの両方で大きな損害と なった苦い経験があります。
担当者の立場からすると違和感や懸念事項があっても上司や管理者に心配を掛ける、 又は怒られそう、細かく口出しされそうという心理的な要因で報告や相談をせず、問 題が大きくなってから上司や会社に露見することになります。 トラブルが拡大してから対応する場合、初期で対応する場合と比較して金銭面でも、 人材リソースの面でもその対応がなければ他の案件で利益を出せるような精鋭人材を トラブル解決の為に投入しなくてはならない等、会社にとっての被害が大きくなる ケースが多いです。
そのような場合、後でプロジェクトメンバーと反省会を行うと上司が同席している場 で明確に言葉で表現されたわけではないですが当初から違和感や不安を感じていたメ ンバーもいることに気がつきました。直接案件に関わっていた数人はトラブルの前兆 を感じていたようです。
しかし、「意見をいうほどでは」とか、「上司に対して言いづらい」等の理由で発言 には至らず、結果的に会社としてトラブルの初期に気づいて対応することができませ んでした。

また、ある金融機関で「差のない商品・商材での戦い」というテーマで講演の依頼を 受けた時のことですが理事長・役員・幹部の方々と事前の打ち合わせをしている際、 他の金融機関と差別化できる独自の方向性を出すために大変悩まれているご様子でし た。
講演当日は一般スタッフ約100名および理事長をはじめとする幹部の方々約30名 が聴講されました。講演の最中に参加されているスタッフの方々の表情を見ていると 事前打ち合わせの際、幹部の方々が悩まれている事項についてヒントを持たれている 顔をされている様に感じました。現場で日々対応されている方々は自ら率先して発言 されることはなくても「この部分に改善が必要」とか、「こうすればいいのに」とい う気づきをお持ちのご様子でした。

上記のような「言葉にされない感覚」は他社での打ち合わせに同席した時、自社での 会議の時など頻繁に感じることがあります。
このような「言葉にされない感覚」が公式の場で意見として表面に出てくることはほ ぼありません。組織の中で働く場合、上司や先輩を差し置いて自分が感じたことを正 直に発言するのは難しいですがそのことこそ、「問題の先送り・イノベーションの障 害・非効率」の要因になっていると感じています。
公には出てこない現場対応から担当者やスタッフが感じている「言葉にされない感 覚」には問題解決やブレークスルーのヒントがある と思います。人間には「発言しづらい」とか「気に障るかも」といった気遣いがあり ますが時にそれが事実や「トラブルの芽」を見えにくくすることがあります。
システムの良いところはそのような心理的な気遣いが無く、機械的に作業・検索・通 知をしてくれるところです。組織で活動していく上で人間が苦手としている「言葉に されない感覚」をAI等のシステムを活用し、捉える支援ができる様、現在も実際の蓄 積された活動データをもとに研究開発を継続しています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙