考える力が未来を創る 【アスクラボメールマガジン2023年12月号】
ふと目にした「前例なき時代」という言葉が印象に残りました(月刊誌Wedge)。最 近よく耳にするようになった「100年に一度の〜」や、「観測史上初〜」というよう に表現される気候変動、EVやAIに代表されるようなテクノロジーの進歩、それに伴う マーケットの変化に機敏に対応していくためには組織上層部の指示を待つのではなく 現場で考えて動く必要があります。
通信・IT技術が進化していくにつれて大規模な設備を持った大きな企業だけでなく、 小規模なベンチャーやスタートアップ企業が出現したり、別の分野から異業種の企業 がIT市場に参入するようになりました。これらの企業はマーケットニーズを中心に商 品やサービスを自ら考え開発し、又は既存の機能をユーザーの立場に立った観点で改 良し、IT業界での新たな手強いライバルと なってきています。それに対して多くの既存顧客を抱えている歴史・実績のある企業 の多くは予算管理・社内外の慣例や決まりの順守・コンプライアンス等、従わなくて はならない管理項目が多く、それらの指示や計画や実施に時間を取られ「考える」時 間が少なくなっているように思います。
IT業界に身を置いている方々の多くは、社会人になる前の学生時代から「課された計 画、課題の実施・ルールを守ること」を中心に生活することに慣れ、「考える」時間 が少ない状況で過ごしてこられたのではないでしょうか。
指示されたことを実施すること、ルールを守ることは大変重要なことですが「前例の ない」事項に対応していく場合にはそれだけでは足りません。指示・計画・ルールは 主にこれまで起こったことを踏まえて作られたものだからです。
「考える力」を養うためには何が必要か?まず、目の前で起こっている現象をよく観 察し、その上で対応していく為に必要な情報を集め、どう対応するか決めることだと 思います。現在、インターネットで検索すれば大量の情報を引き出すことは可能で す。しかし、それで必要な情報が即集まり、起こっている現象に対応していく能力が できるわけではありません。情報を吟味し、内容を理解し、必要があれば直接対象や 現場に行ったり、関わる人物に会うなどしてさらに情報を集め、対応のために必要な 部分を拾い出し、次の行動に使えるように再構築する必要があります。そのプロセス が「考える力」を育てると思います。
与えられる指示やルールはすでにそのプロセスが省かれているもので、良くも悪くも 過去の遺産とも言えます。 トップアプローチ研修を通じて10年以上の間に数千人 の大手ベンダーに所属する受講生の方々と接してきました。研修の中で「御社と取引 するメリット」という質問をするのですが多くの受講生の回答はとても似ています。 日常から考えていれば、独自性のある「取引するメリット」が提示できるはずです。 研修の受講生の方々は今のご自身の業務に直接必要とされているスキルについては大 変優秀です。又、もともと高い潜在能力を持っておられる印象です。ただ、多くの場 合、目先の業務指示、ルールに対応することに大半の時間を使わざるを得ない状況に おられる様に感じます。受講される方々の持たれていると思われる潜在能力と実際に 活かされている能力に「差」を感じます。トップアプローチ研修を通じて考える力の 重要性を再認識して頂き、持っている能力を更に仕事の現場で活かして頂けるお手伝 いができればと思います。
トップアプローチ研修は「考える能力向上」を意図して演習を構成しています。
1.「教える」のではなく、受講者の方に「興味を持って」頂く。(興味を持つと、 そのことについて自ら考えるようになる。)
2.「記憶する」ではなく、「理解して」頂く。(書籍やインターネットを参照して ご回答頂けます。)
3.得た知識をどのように実践で使うのかをご提案。(実際に使う前提の知識を身に つけて頂きます。)
本研修の中での解説では、財務データを観る観点や現場での実践的な活用方法、提案 に活かすポイント、提案の一例等をご説明させて頂きます。営業・提案活動には「唯 一の正解」というものはありません。研修を通して、情報を観る新たな観点や提案の 引き出しを増やして頂ける様、これからも研修コンテンツについて随時アップデート を続けていきたいと思います。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙