現場情報の活用が未来を決める【アスクラボメールマガジン2023年6月号】

現場情報の活用が未来を決める

■日報の入力を促すマネジメント
弊社の強みの一つは決めたことを継続できることだと思っています。営業・技術・管 理部門の全員が10年以上にわたり毎日の日報(業務報告、商談情報)を登録してくれ ています。情報登録に費やす工数の見返りとして、管理者の会議は毎月一回30分程度 にしています。スタッフが日々の貴重な時間の中で登録してくれた日報を見ることを 私の重要な業務として目を通しています。日報は全スタッフの知恵と経験がテキスト として蓄積されたデータなのでマネジメントを行う上で商材企画、人材育成の貴重な 資料となっています。そのように重要なデータとして日報を活用していることをス タッフは認識しているので、毎日かかさず入力してくれているのだと思います。

■テキストデータの活用
日報として入力された商談や日常業務の実態が記されているテキストデータは、大き なビジネスソースであり、そこに他社と差別化できる商品やサービスを作っていくヒ ントがあるように思います。又、部署間での協力や調整・交渉が必要になった時、蓄 積されたテキストデータをもとに会話をすることで感情的になることなく、互いに冷 静に判断してベストな選択をする手助けにもなっています。
・活用1:リスク削減
弊社では上記の蓄積されたテキストデータをAIに学習させることで「リスク削減」の 目的でも活用しています。企業を発展させていく為には新しい技術の開発、顧客の開 拓等が必要になりますが新たな挑戦にはリスクが伴います。これまでも経験者が日報 を日々見ていくこと(情報共有)で危険因子を見つけた場合に、早めに対策を打ち、 重大な事故や課題に発展することを防いできましたが現在では、AIに過去のデータを 学習させ、自動的にリスクの含まれていそうな日報を通知させることで判断の補助と しています。実際にAIリスク通知機能を使ってみて、AI判定の精度は80-90%だと感 じています。他社のトラブル事例を見ても個人的な判断、情報の非公開・初期対応の 遅れ・誤りが被害を大きくしています。致命的にせず、最小限の被害で食い止める為 には初期の段階で対応しなくてはなりません。その為に日々の情報共有とその中から リスクを感知することが欠かせないのです。
・活用2:スピーディーな対応には現場情報が必要
企業を少し大きな視点で見ると、企業の課題というものは現場課題が時間の経過とと もに経営課題となっています。最終的にはその課題が蓄積され、財務データに表れて きます。(弊社のトップアプローチ研修ではそのつながりを演習を通して学習してい きます。) 現場での小さな問題が積み重なり、拡大していかないうちに早めに解決 することが不可欠です。管理者は営業・モノづくりの現場情報から、現在の問題点や 市場環境の変化を素早く掴んだ上で、マネジメントを行う必要があるのです。
・活用3:貯まったデータから未来を構築
蓄積されたテキストデータは将来に向けての計画においても活用しています。現時点 でのスタッフの経験値・スキル、今後活用できそうな手法・技術、市場ニーズを把握 することで新しい商品・サービスの開発や社内外での相互育成を行っています。
【商品・サービスとしてテキストデータをもとに開発してきたもの】
トップアプローチ研修   PROナビの改良   AIリスク診断   ユーザエネル ギー計測
【テキストデータからスキルを向上させているもの】
業務経験を活用したSIソリューションの開発・構築・サポート   見積・要件定義 の精度向上   交渉力向上
■経営のテーマ 2021年から「上回る知恵の創出」をテーマとしてきましたが、営業・技術・管理部門 の日報を見ていると、組織として「市場のニーズ変化に対応する知恵の結集(成功・ 失敗の情報共有)」が出来つつあると感じています。その結果として、会社の業績も 上向いている状況です。弊社アスクラボは「無名・後発・顧客ゼロ」という状況から スタートし、以降も厳しいビジネス環境の中で運営してきました。故に他社の後追い をしたのでは存続できませんでした。そのような環境の中でスタッフ全員が持ち続け てきた危機意識が「現場情報の重要性」を共通認識できる風土を作り、営業活動・モ ノづくり・管理体制も筋肉質の体質となり、現在の大きな強みとなっています。

              アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙