多くの課題が成長の源 【アスクラボメールマガジン2024年1月号】
■後発であることの課題
岡山県北に位置する津山という地方都市で創業した当時、ユーザ皆無、財務知識も皆 無でした。他社のユーザをリプレイスできなければ会社経営が継続できない状況でし た。そんな時、即収入につながる人材派遣の仕事については声を掛けて頂くことはあ りました。しかし、それでは直近の収入を得ることが出来ても、長期的に年齢に応じ たスキルを得ることは難しく会社として将来がないと判断し、自らで顧客を開拓して いくことを選択しました。「後発である我々は何を特徴にしたら既に懇意の他社から 乗り換えて、取引を開始してもえるか。」ということが大きな課題でした。
その為、他社がどのような提案を行っているかを調査しました。調査から見えてきた ことは、当時の他社の提案書は「機能の羅列」であることが多く、経営課題の解決が できるとは思えない提案内容でした。同じような内容の提案を実績のない後発企業が 行っても既存ベンダーに勝てる可能性はありません。そこで、選んでもらう理由が必 要なため「システム部門に機能を提案する」のではなく、「経営陣に対して経営課題 解決を提案する」というアプローチを弊社の活動方針としました。
■企業運営の知識不足
創業当時はお客様に対するスキルだけでなく、内部を運営するマネジメントのスキル も不足していました。運転資金借り入れのために金融機関を訪問した際、支店長から 試算表の提示を求められましたが試算表の意味がわからずに注意を受けたことがあり ます。それをきっかけに財務を学びました。そのことが現在の月次決算や資金繰り向 上につながり、トップアプローチ研修の中でお伝えしている「実践的な財務情報の見 方」の基礎になっています。
■高齢化対策として
弊社は地元就職が多く長期間勤務する可能性が高いので高齢化に対する対策も必要に なります。経験年数と比例してスキルアップする仕組みが不可欠です。営業・SEは業 務知識・提案力・営業力・交渉力・システム構築の経験や提案内容を商談ごとに日々 「PROナビ(弊社開発の情報共有システム)」に登録し、個人及び組織の経験を蓄積 すると同時に次の提案の参考にしたり、商材開発のためのデータとして活用して組織 全体のスキルアップを行っています。点在する情報ではなく、長期に渡り時系列に整 理され蓄積された情報こそデータとして活用できるものであると考えています。結果 的に人材育成の重要なデータになっています。
■無名という壁
津山という地域では、「津山市に本社を置きながらビジネスは全国展開している」と いうことが優良企業の条件だと考え、弊社でもそこを目指しました。自社で「PROナ ビ」「トップアプローチ研修」という商品を開発し、先ず地元で営業活動を行いまし た。しかし、地元では商品やサービスそのものを精査して自らの判断で購入するかど うか決めるのではなく、多くの企業は導入実績を優先的な判断材料としていました。 そのため有名企業への導入実績を作る目的で東京へ進出しました。しかし、東京では お客様に商品に興味を持って頂くことはあっても、「地方から来た無名の会社」とい うことで稟議が通らない状況が続きました。
設立当時と同じく、ここでも「経営陣に対して営業力強化という経営課題を解決する 提案」を行い、最終決裁者にプレゼンして有名企業数十社への導入の実績を作ること ができました。 創業時の「後発で実績のない企業をいかに選んでもらうようにするか。」という課題 への対策として行った「経営陣に対して課題解決策を提案する」ことがその後の営業 活動の最大の強みとなり、当時の企業運営の知識不足がその後の資金繰り向上につな がり、その経験で多くの経営者とコミュニケーションをとることができました。
又、高齢化対策として派遣での即時収入よりも業務知識が習得できるような仕事を選 択することで、組織として付加価値の高いスキルを身に着けることができました。後 発・無名であったことで直面してきた課題がのちに企業として生き延びるスキルを育 んでくれたといえます。そのような経験がトップアプローチ研修のコンテンツにもつ ながっています。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙