変化に対応できる人材の育成【アスクラボメールマガジン2023年10月号】

変化に対応できる人材の育成

コロナ禍でのビジネス環境の変化、温暖化による自然環境の変化とそれに伴う自然災 害、ロシアによるウクライナ侵攻等、このところ数々の想定外の事態が起きる時代に なりました。経済も世の中も比較的落ち着いていた時代には、言われたことだけを実 行する「指示待ち」人材でもそれなりに業績を上げていくことができました。しか し、周りの環境が刻々と変化する現在では、企業に所属する各個人にも状況に応じた 自己判断、変化への素早い対応、新しいアイデアが求められます。当然、企業のマネ ジメントも人材育成にも変化が必要です。

以前だと少し大きな商談に取り組む場合、弊社のような小規模な企業においては役員 クラスの承認が必要でした。その際、営業現場から役員へ状況が上手く伝わらず、商 談への対応が遅れていました。そのことによって、現場対応している担当者のモチ ベーションが低下し、トラブルも発生しがちでした。
その頃私は、会社が全体的に「指示待ち」の雰囲気になっているのを感じ、危機感を 覚えていました。自分で判断することが出来、変化に対応できる人材を育成し、商談 のチャンスを逃がさないようにすることが不可欠と感じました。その具体策として、 商談においては役員の承認を不要とし、代わって現場状況を組織として素早く把握す るために商談進捗をPROナビ※にて随時報告することにしました。

経営面では月次決算を実施しました。近年ではAIリスク診断を活用し、徐々に現場へ 権限移譲を進めています。現在では、リアルタイムで組織で現場状況を把握し、リス クの気配にも気づくことができるので初期対応が可能になり、トラブルも減少してい ます。それに伴い、以前は少し頼りないように感じていましたが経験を重ね、成長し 状況に応じた自己判断、変化への素早い対応ができる管理者・担当者が増えてきまし た。受注確率も高まって会社全体として業績は向上しています。
それらと並行し、会議の進行も変化しました。月1回の幹部会議は30分以内。予算 数字管理は各部署で行い、会議の議題はビジネスの方向性・風土作りが中心です。弊 社では営業だけでなく、技術、経理部門も含め会社全体でPROナビ※によってリアル タイムに状況報告を行い、管理のためではなく、現場担当者・管理者・経営陣が共通 の情報を基に協力して課題解決に取り組むことを推進しています。最後に上記を実施 するために私が肝に銘じていることを記載します。

1 大の大人を管理することはできない。管理しようとすると「管理されている」フ リをする(無駄なことにリソースを使わない。)
2 類似の経験をさせる(管理者を成長させるために、経営者と類似の課題解決の経 験をさせる。大手企業の幹部の方が、今の若手は教えようとすると聞く耳もたないと 悩んでおられました。各商談や各部門で起こる課題は経営陣が対峙する経営課題の縮 小版であるとも言えます。)
3 ビジネスにおいては財務的思考が重要
4 意見の違いは当たり前
5 部下は子分ではなく、プライドを持った人格
6 欠点は見落としても、長所は見逃さない

 アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙 date:2023/10/01