事実に基づいた経営【アスクラボメールマガジン2025年2月号】

事実に基づいた経営

過去に弊社が業績不振に陥り、赤字決算となった時期があります。各部門で半期ごと の予算を作成するのですが、当時あがってくる予算は会社が期待する数字よりも小さ いものでした。各部門とミーティングを行い、半ば強制的に予算数字の上乗せを行っ ていました。その結果、ほとんどが予算未達となり感じの悪い反省会を行うという状 況になっていました。管理者は現場担当者の行動を責め、口には出しませんでしたが おそらく担当者側からすれば、経営陣や管理者の方針の不明瞭や無理な予算計画につ いて大きな不満があったと思います。その頃は部門間も不仲で社内の雰囲気もよくあ りませんでした。

その後立て直しを図るために色々試行錯誤をしている時、各部門からあがる「上乗せ 前の数字」がその時の本当の稼ぐ力ではないかと気が付きました。無理やり上乗せさ せた数字に根拠はなく、結果が伴わないのも当然です。現場担当者だけでなく、お客 様の状況も無視した自社都合の勝手な数字です。また、状況を無視して自社の「希望 的な予算」の作成は無駄な時間も費やし、担当者と管理者や経営層との心理的な摩擦 も引き起こします。無理な予算という根拠のない過剰な負荷を現場にかけることで、 行動や商談に関する報告について叱責されないように一時的に上層部を満足させよう と不正確な情報になって行きます。そしてそれらの不正確な情報から組織が「前のめ り」となって、売り上げ計上時期・商談ステータス管理・受注時期について現実と乖 離が生じる悪循環となっていました。

そのような状況を改善するため以下のような対策を実行しました。

1 現場からあがってくる予算をその時点の会社の稼ぐ力の実力と判断し、上乗せし ない。

2 上記1を実施すれば、スタート時は予算達成しても赤字となるが、「現在は赤字 の力しかない」ということを経営陣、管理者、現場担当者含む全員で認識する。

3 報告・行動は事実をPROナビ※(弊社開発の情報共有システム)に記載し、組織 全体で情報共有する。

4 黒字化するために経営陣、管理者、現場担当者とも収益を得る為の行動を行う。

上記のような対策を継続的に行ってきた結果、現在は黒字経営を続けることができて います。業績不振に陥っていた時期と比較し、残業もなくなり、部門間の摩擦も解消 し、社内の雰囲気も随分よくなったように感じています。そのような環境になったか らこそ、新サービスの開発や新しい分野への挑戦等、部門間が協力しながら進めるこ とができています。  

過去の苦い経験を通じて、現場の状況を認識せず上層部の理想を押し付けるようなマ ネジメントでは上層部に都合のよい、事実とは違った情報が報告されるようになり、 そこから間違った判断を重ねて、時間の経過とともに経営のリスクが増大していくこ とを実感しました。予算の状況や商談の進捗状況、それぞれが抱える仕事の分量など の現状を組織全体で認識し、納得の上で対応していくことが摩擦や無駄な作業を減ら し、健康的な生活をしながら業績を上げていく一番の近道だと思います。

アスクラボ株式会社 会長 川嶋 謙