企業の課題を解決するためには、システムという機能を提示するだけでは困難です。企業の課題にはシステム系の課題と人間系の課題があるからです。弊社は会社設立以来、システム系と人間系の課題解決の両輪が必要という方針で対応してきました。

PROナビ開発の背景
システム系と人間系を含めた課題解決の提示を行うためには、業務知識が必須となります。そのため弊社では、収入的には厳しくてもSIビジネスを通じて、また大手メーカの下請けを一切せず、業務知識を構築してきました。お客様と直接取引し・お客様の業務を知ることが業務知識として将来の財産になるからです。また、営業やSEが業務知識を持ち、システム系の改善・人間系の業務改善の経験を積むことで、年齢を重ねるにつれて市場価値を向上させる
ことができると思っています。その経験やノウハウを継承していくための仕組みとしてPROナビを開発しました。

PROナビを社内に導入した際、「会社に管理されたい」と思っている人はまずいないという前提で、日報や商談データの情報を入力したスタッフへの恩恵や評価、会社として入力情報の有効利用をスタッフに知らしめるという情報入力のためのマネジメント(情報入力という人間系の課題解決のためのマネジメント)に取り組みました。
おかげで導入から15年以上経った現在でも、全部門・全スタッフが毎日、日報・商談データ(営業活動、お客様の反応、SEの報告書、打ち合わせ情報、
管理部門の情報等々)を登録してくれており、そのデータは将来に向けたビジネスモデル構築のための貴重な財産となっています。

AIリスク通知構築の背景
多量の情報・データの中からリスクの可能性を抽出するという「AIによるリスク通知」の仕組みは、「たくさんの報告の中から優先的に確認すべき報告を知りたい」というお客様の課題がきっかけで開発につながりました。
2019年9月にPROナビにその仕組みを搭載して運用するとともに、お客様のデータの分析・検証を行うなどの経験を積んでいます。AIリスク通知の仕組みは、「AIありき」ではなくお客様のニーズ(課題)があり、その課題解決のために要件や仕様決め、市場ニーズを調査し、構築がスタートしました。
また弊社には、PROナビ運用開始以来、登録・蓄積されたデータが約50万件(2019年7月末時点)あり、AIを検証するためのデータとして利用することができました。

人とAIの役割
最近読んだ日本経済新聞出版社の「AIまるわかり」に、AIの医療活用例として次のような内容がありました。「血液腫瘍の治療についてAIを活用するため、血液腫瘍に関する2,000万件の研究論文と、治療薬に関する1,500万件の特許情報をAIに学習させて治療薬の選定を行ったところ、人では2週間程度かかっていた治療薬の選定が、10分程度に短縮された。しかし、選定された結果は、治療薬の候補と可能性を示したものであり、実際の治療には医師の問診や他の検査結果、医師の経験を基にした総合判断が必要となる。」

AIによるリスク通知を自社運用した経験と、お客様のデータをAI分析した経験から、AI分析データを人間がどのように判断・活用するのかが重要であると思っています。
弊社では現在、PROナビのデータを週ごとに検証していますが、それはAIの分析データと営業・SE経験者の実務感覚と照らし合わせ、その誤差を拾い上げて精査することにより、人がAIを上手く運用するためのノウハウを蓄積するために行っています。
先月のメールマガジンでも取り上げた「さじ加減」ですが、人とITの役割も「さじ加減」が必要であると改めて感じています

「PROナビ」について 

「AIリスク通知」について

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙