生きた情報が生命線【アスクラボメールマガジン2020年10月号】

市場変化が速い時代のマネジメントは、「生きた情報」が経営の生命線になると思っています。報告用として作られた情報や整えられた情報に基づいたマネジメントは、企業の存続にとって大きなリスクを含んでいます。

十数年前、営業、技術、管理部門を含めた弊社の全スタッフに、日常業務、 お客様・商談情報などを、自社開発の情報共有システム「PROナビ」に毎日登録するよう依頼しました。 それは、重要な顧客の経営環境の変化、市場ニーズの変化、求められる技術の変化、アイデアの変化等、「生きた情報」をつかみたいと思ったからです。
しかし、どのような素晴らしいシステムや仕組みであっても、「報告用の情報」ではなく「生きた情報」の登録をスタッフが継続してくれなければ、弊社の発展・存続は厳しいものになります。そのため、生きた情報の入力と継続に必要なマネジメントを真剣に考えて、次のような方針を立てました。

1.批評をしない・ケチをつけない
PROナビへの登録スタート時、上層部や管理者は、登録された情報の内容や文章について、体裁の良し悪しや文章の巧拙を批評したり、ケチをつけたりしない。整えられていないストレートな文章の方が「生きた情報」の可能性が高いため。
※文章スキルは年月の経過とともに向上する。

2.上層部・管理者も情報登録する
アスクラボは「作業」ではなく「知恵やノウハウ」を主体として企業存続していく。そのためには、知恵やノウハウはもちろん、情報や問題を上層部・管理者・現場スタッフ全体で共有することが不可欠。そのためには、上層部・管理者自身もPROナビに情報の登録を行い、現場スタッフに上層部・管理者の動きや考えを伝えることが必要。現場スタッフが登録した情報により上層部・管理者は現場の動きや考えを知ることができるため、結果として情報・問題を自然に共有することができる。

3.会議、注意・訓示は短く
毎日PROナビへ情報登録をする代わりに、会議の回数削減と時間短縮を行う。また、上司によるスタッフへの注意や訓示も3分以内を目途とする。営業、技術、管理部門それぞれの本業に最大限時間を費やすことで、会社の収入増・業績向上につなげる。

4.長所を探す(入力促進)
上層部・管理者は、日報に登録された内容から現場スタッフの長所を探す。会社の収入につながらない欠点を探すのではなく、現場スタッフの収入につながる特徴を長所として探すことに力を入れる。
※あらを探して指摘をすると情報を登録しなくなる。

5.結果のシステムと対策のシステムを分ける
実績数字の管理(結果)のためのシステムと、知恵・ノウハウの情報共有(対策)のためのシステムは区別する。スタッフの評価方法も実績数字による評価だけでなく、情報提供(登録)やプロセスを含めた評価との2本立てとする。
※新規開拓や新たなビジネスに関しては、実績数字より情報提供のウェートが高い。

弊社スタッフ全員がPROナビへの情報登録を継続した結果、「生きた情報」をつかむことができ、蓄積されたデータも50万件を超えています。 そのおかげで、「ユーザエネルギー」、「AIによるリスク通知」、「トップアプローチ研修」など、現場を支援する・現実に基づいた商品・商材を開発するができ、それらを軸にしてコロナ不況への対応も可能と思っています。

※「ユーザエネルギー」、「AIによるリスク通知」は、既存のシステムからWeb APIでの利用が可能な仕組みです。

「ユーザエネルギー」 https://asclab.com/service/asclab_solution/pronavi/
「AIによるリスク通知」 https://asclab.com/service/asclab_solution/ai_risk/
「トップアプローチ研修」 https://asclab.com/service/training/top_approach/

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙