問題・課題の指摘が成長の種【アスクラボメールマガジン2020年8月号】

弊社では、経験や知恵を活かして商品・サービスを開発するために、営業、技術、管理部門を含めた全スタッフが、日常業務、お客様・商談情報を、自社開発の情報共有システム「PROナビ」に登録しています。情報の登録をお願いし、運用を開始してから10年以上が経ち、そのデータは弊社の財産となっています。自身の経験(ビジネス、プライベートを含めて)を振り返ると、知恵や知識を身に着けるきっかけは、良い出来事から生まれるよりも、問題や課題を指摘されたときに生まれているような気がします。注意や指摘を受けたり、批判されたり、困ったり悩んだりしたことがきっかけで、努力や奮起につながり、知恵や知識の習得につながった過去の経験をいくつか振り返ってみます。

「従妹として恥ずかしい」
私が中学1年生だったときのことです。当時はテストの総合成績順位が学年別に廊下に貼り出されており、一学年の生徒数は200人ほどでしたが、私の順位は91番でした。私の従姉も同じ学校に在籍しており、3年生だった彼女の順位は3番でした。その従姉が私のところにやって来て「従姉として恥ずかしい」と言って帰って行きました。その通りだと素直に思った私は、担任の先生に「明日から勉強を頑張るので一番前の席にしてください」とお願いをしたのを覚えています。

「そんなことも知らないで会社を作ったのですか?」
会社を設立して初めて銀行にお金を借りに行ったときのことです。支店長に「試算表を見せてください」と言われたのですが、その当時の私は「試算表」 の意味が解らず、「あなたはそんなこと(試算表)も知らないで会社を作ったのですか?!」と注意を受けました。私は支店長の指摘を「その通り」と素直に受け止め、試算表の知識はどうやって勉強すればよいかを尋ねました。そして、その銀行の関連会社が扱う講座を支店長に紹介頂き、通信教育を 受けて初めて財務を理解しました。現在弊社はこの銀行より出資を頂いています。

「小さすぎて取引できない」
弊社を設立したばかりの頃のことです。地元である岡山県北部の津山市に、企業誘致で大手空調機メーカーA社が進出してきました。当時の弊社は 工業系消費財の販売をしていたため、設立間もない社員3名の弊社にも、A社の購買課から見積依頼の声がかかりました。見積を提出した後日、 A社購買課のO課長より連絡があり、「価格は御社が一番低価格だったが、御社の会社規模が小さすぎて取引ができない」と断られました。
どうすることもできない理由で断られ、何とも言えない気持ちとビジネスの厳しさを感じましたが、素直に現実を受け入れて、相手が取引をしてほしい と思うような会社にしようと決心したことを覚えています。数年後、弊社の事業がある程度軌道に乗った頃、A社に再度アプローチを行った結果、取引が始まりました。その後O課長にお会いした際、「御社が小さすぎて取引できないと断ったが、その後ずっと気になっていた。取引できる状態になってよく来てくれた」と、非常に喜んでくださいました。

会社が成長するために、スタッフには、良い出来事ばかりでなく悪い出来事も含めて、課題や失敗への対応等も情報としてPROナビに登録してほしいと 常々お願いしています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙