弊社の若いスタッフが「仕事ができる人になりたい」と言った時、私はそのスタッフに対して、「仕事ができる人になりたければ、本人のいないところで批評や悪口を言わないようにして、多くの味方を作れ」とアドバイスしました。

さて、私が若い頃のことです。
私はビジネスの社会に入った時、「全国で通用する一流の営業マンになりたい」と、漠然とした憧れを持っていました。その憧れに近づくために多くの書籍を読んで、その中に出てくるビジネスマンの物まねをして営業活動をしていました。今思えば、自分勝手に解釈した「一流」という言葉への憧れと、書籍の中のビジネスマンを自らに置き換えていたことが、若かった自分自身のモチベーションになり、がむしゃらに行動できていたのだと思います。若い時は、自分の力・自分の努力で受注を上げていましたが、これは私がビジネスをスタートさせた岡山県北部の地方都市という限定された狭い範囲で、一時的にある程度通用したものと後になって気付かされました。

それから十数年後、自社商品である「PROナビ」を開発して東京での販売活動を開始しました。今でこそ東京に拠点を構えていますが、当時は東京の商談も岡山から出張して対応していました。東京での営業活動は受注が皆無という以前に、商品をPRするチャンスもままならないという状況でした。そんな中、ある大手ITベンダーの社長・役員に対するプレゼンのチャンスを得ました。当日、私はプレゼンの資料をカバンに詰めて訪問し、社長・役員の方々へプレゼンを行いました。プレゼン・片づけを終えた後、先方の社長自らエレベータホールまで送って下さいましたが、その際に「君は一人で来て、一人でプレゼンをして、一人で荷物を片付けて、一人で帰って行く。その姿に感動した。」と、思わぬお褒めの言葉を頂きました。これは私の想像ですが、社長ご自身の若い頃と私を重ねられたのではないかと感じました。その後、その社長のご支援のおかげで現在があると思っています。

このITベンダーの社長を紹介して下さったのは、この会社の関係会社であるA社の支店長でした。実は、A社と弊社は同業で、狭い地方都市ではよくバッティング起こし、商談に勝ったり負けたりしていました。また、両社が関係するトラブルが発生した際には、解決策を支店長と話し合ったことも何度かありました。A社とは競合する関係ではありましたが、今でも私が自信を持って言えるのは、私自身がA社やA社の支店長に対して感情的な発言や表現をしたことはなく、A社やA社スタッフの悪口や嫌味を言ったことは一切ないということです。そんな背景があったからか、弊社が東京で営業活動始めたと知ったA社の支店長が「私も協力する」と言って下さり、先のITベンダーの社長を紹介して頂くことになったのです。A社の支店長は、表立ってではないものの、弊社や私のことをかなり褒めて下さっていたようです。

ビジネスの世界で仕事ができるようになるためには、多くの協力者・支援者の存在が必須です。A社の支店長より紹介を頂いた件で、自分一人の力は知れていることを再認識するとともに、陰口や悪口を言って反発する人を増やすと、個人・会社としての能力は優れたものを持っていたとしても、業績向上の足を引っ張られることになりかねないと改めて思いました。

冒頭の「仕事ができる人になりたければ、本人のいないところで批評や悪口を言わないようにして、多くの味方を作れ」というアドバイスは、私自身が身をもって実感したことなのです。そしてそれは社外やお客様との関係に限ったことではなく、社内の上司と部下の関係、他部署や同僚との関係も全く同じなのです。特に、管理者やベテランのスタッフには、一般のスタッフへの注意・アドバイスは、長くなると逆効果になるので心理的に効果がある3分以内にするように依頼しています。

さて、協力者・支援者を得るためには、まず信頼を得ることが必要です。弊社の研修コンテンツ「トップアプローチ研修」でも、信頼を得るためのプロセスに関して重点を置いたカリキュラムを組んでいます。お客様の経営者・管理者層とのコミュニケーションにおいては、相手から信頼を得られなければ、いくらテクニックやスキルがあっても相手とコミュニケーションが取れず、結果として重要な情報を得ることはできないからです。
「PROナビ」について http://www.asclab.com/service/pronavi/
「トップアプローチ研修」について
 http://www.asclab.com/service/training/top_approach/
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙