先日、福島原発事故に関する番組(NHKスペシャル)を見ましたが、その中で使われていた「調整コスト」という言葉が印象に残りました。 想定を超える原発事故が発生し、東京電力の現場、本社だけでなく、政府、消防、警察、自衛隊など対応に関わる組織が増えたため、それらの関係各所との調整のために時間がかかり、本来の対応が遅れ・事態が悪化してしまったことを、番組内で「調整コスト」と表現していました。

深刻な被害となった原発事故の場面かつ緊急性・重大性の面から、その対応を安易に比較できるものではありませんが、「調整コスト」の部分については、ビジネスの世界においても同じ現象が多く見受けられるため、非常に印象に残ったのです。

弊社でも過去からの記憶をたどってみれば、思いあたる例がたくさんあります。例えば、お客様との営業上のやり取り・次の対応への取り組みをある部署に説明しても、別の部署に対しては再び最初から説明をしなければならないことは多々あり、説明に時間がとられて本来の目的が迅速に進まないのは、まさに「調整コスト」です。
また、組織・仕組みの問題ではなく、相手によって「調整コスト」がかかる場合もあります。社内の改善や改良、商品開発、ミスや失敗のリカバリー等を、上司や管理者、同僚などに提案あるいは相談する場合でも、提案や相談を「しやすい相手」と「しにくい相手」が存在します。例えば以下のような例です。

1.提案・相談するテーマの本質より、依頼・相談する相手の理解に時間をとられる。
(本質の話より、意図を理解してもらうための時間をとられる)
2.提案・相談をすると注意や説教をされることが多々ある。
(本質の話より、話し方や説明の仕方などに時間をとられる)
3.提案・相談すると感じが悪くなる。
(否定的に受け取られ、本質の話に入れない)

つまり、提案・相談の「しにくい相手」は、結果的に調整コストのかかる人と言えます。これも弊社での例ですが、システムに関するトラブルが発生したお客様に対して、担当スタッフが上司に同行を依頼した際、上司によって次のように対応が分かれました。

・少しでも早くトラブルを解決するため、また、お客様の感情や担当スタッフの心情を最優先に考え、取り急ぎ担当スタッフに同行してお客様を訪問して現場の実態をつかもうとする上司。

・トラブルの早期解決、お客様の感情、担当スタッフの心情より、なぜトラブルが起きたのか、だれの責任なのかを考えて、トラブルが起きた経緯・理由・状況について詳しく報告を求める上司。

結果的には、担当スタッフに同行してトラブルの現場であるお客様を即座に訪問・対応した上司が社内の信頼を得て、後者の上司は「トラブルの現場へ行きたくない上司」と多くのスタッフにみなされてしまいました。実際にトラブルの解決においても、前者の方がトラブルの損害が少なくて済みました。

会社の効率化から見ると、提案や相談をしにくい人は調整コストが多く必要になり、本質の解決に対しては非合理的となります。加えてその人に提案や相談をしなくなります。組織においてはチームで仕事ができなければ個人の成長は止まります。しかし、提案や相談を受ける人にとっては、ある程度の状況把握は必須であり、調整コストをかけないためにも情報の共有は必要です。

弊社開発の組織営業力強化システム「PROナビ」は情報の入力者への恩恵を考えた商談日報・業務日報を通じて、調達コストの削減を目指す仕組みです。
「PROナビ」について http://www.asclab.com/service/pronavi/

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙