メディアやインターネットが発達した現在、情報は「発信するもの」あるいは「受け取るもの」という「一方通行」ではなく、相互にやり取りする「双方向」に変わって きています。企業対お客様においてもその変化は顕著で、以前は売り手側主導の一方通行だった情報提供も、現在ではお客様との「双方向」に変化しています。現に、飲食店やホテル に対する利用者の評価はもちろんのこと、医療機関に対する利用者の評価もインターネット上で簡単に閲覧できる時代なのです。そんな時代にあって、企業内での情報提供・伝達はどうでしょうか?市場と同じように双方向へと変化しているのでしょうか?

企業における情報共有・伝達の仕組みとして、経営者層から管理者・現場への指示やコンプライアンス通達、実績数字等々「上から下へ」伝わる一方通行のルートはある意味明確であると思います。しかし、現場・管理者から経営者層へと「下から上へ」情報を伝えるルートやチャンスは非常に少ないのが実状であり、数字以外の現場の情報に注目している管理者・経営者が少ないことも事実ではないかと思います。

多くの企業では、現場が計画した予算に対して会社が数字を上乗せして正式な予算が決まっているかと思います。しかしながら、上乗せした数字の裏付けやその数字を達成するための戦略が、誰の役割であるのかは不明確なままにされていることが多いのではないでしょうか。そのため、現場に対して「どのように予算を達成するのか?」と質問をすると、「会社の指示・命令だからやらなければならない。やるしかない。」という根性論的な回答が圧倒的に多く、予算達成のための裏付けや戦略を説明できるのは希なケースと言わざるを得ません。このような状況では、現場は消耗戦を強いられ、将来を担うスタッフの育成にも影響を及ぼし、「働き方改革」にも逆行します。

本来は、会社側が予算数字の根拠(机上論であっても)、企業の強み、商品の強み、販促活動等の情報を提供し、現場がそれに対する市場の環境・動向(現実の状況)、スタッフのスキル等の情報を提供し、双方向で情報を提供・認識した結果で戦略を決定して実行に移すというのが「あるべき姿」だと思っています。つまり、机上で立てた予算(仮説)と、実際に市場のお客様に接した現場の事実(検証)を双方向で情報共有し、仮説と検証の差をなくすことが必要なのです。

企業が発展・存続するためには、営業、研究開発、製造、管理、マネジメント等すべての業務において、市場・環境の変化へ対応すべく常に改善・改良が必要不可欠です。その改善・改良を行うための重要な要素の一つは、市場に接している現場の「本当の情報」だと思っています。最近多発している大手企業のさまざまな偽装問題は、その企業の存続にまで影響して います。そのような問題が生じる原因は、現場の出来事を管理者・経営陣に伝えるルートが無い、もしくは無いに等しい、あるいは仕組みはあっても機能させる風土が存在しないからではないでしょうか。

私は、日本の強みは営業現場やモノづくりの現場に優秀な人材がいることだと思っています。しかし、その優秀な人材が持っている課題や感覚、本当の情報が、組織の上層部に伝わらない環境や仕組みになっている現状については危惧を感じずにはいられません。

※PROナビ(弊社開発の組織営業力強化システム)は、経営者層・管理者層から現場 スタッフへ、現場スタッフから管理者層・経営者層へ、双方向での情報のやり取り ・組織連携の支援の仕組みです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙