企業の経営陣や管理者層の方々と話をすると、ご自身の会社のスタッフについて
「なかなか意図をわかってもらえない・・・」
「意図が通じるスタッフが少なくて・・・」
とこぼされることがあります。私も社会人になりたてのころ、「リーダーは孤独であり、会社経営で一番悩むのは人間関係だ」と企業経営の先輩であった父に教えられました。自身の考えがスタッフに理解してもらえないというのは、リーダーに共通する悩みのようです。

私は自ら会社を設立してリーダーとなりましたが、このビジネス上の「リーダー」という役割を、興味を持って、人生勉強として、本気で「演じていこう」と思っています。リーダーという「配役」のおかげで、企業を訪問しても役職の方が面会してくださいます。銀行を訪問しても相応の管理職・上層部の方がお相手してくださいます。
言い換えると、配役のおかげで特別な待遇をされているのです。つまり、一般のスタッフが平地でビジネスをしているとすれば、リーダーは平地にやぐらを組んでそのやぐらの上の高い場所に置いてもらってビジネスをしていると思っています。その環境に違いがあるため、平地にいるスタッフとやぐらの上のリーダーは視点に違いがあるのです。

遠いところからビジネス上の危機が迫ってきたとします。平地にいる他のスタッフには見えなくても、やぐらの上のリーダーからは見ることができます。リーダーがやぐらの上で、遠くの危機に対する指示を出しても、平地のスタッフには危機が見えないため、内心では「この平穏な時に何を言っているのか?」と思ってしまうでしょう。
危機だけではなく、逆に将来のビジネスチャンス・可能性を見出している場合も同じです。現状が厳しく・苦しい状況でも、やぐらの上から遠くのチャンスや可能性が見える立場と、現状が厳しく・苦しい状況で、平地でチャンスや可能性も見えなければ、相互の理解や共感を得ることは難しいのです。

しかし、スタッフの理解や共感が得られなくても、不平や不満があったとしても、リーダーは指示・命令を出さなければなりません。もし、リーダーと同じタイミングでスタッフが指示・命令の本質や意味を理解したとしたら、リーダーが本来の役割を果たしていないに等しいとさえ思っています。

時間が経過し、平地のスタッフからも危機が見えるようになった時、初めてリーダーの指示、命令の本当の意味が理解されると思っています。そしてそれは役職の違い・立場の違いによる当然のことであり、ごく自然なことだと思っています。
やぐらの上で最初に危機を感じ、スタッフが危機を感じるまでの時間差こそが、リーダーが孤独たる所以であり、リーダーがリーダーたる仕事をするところなのです。

人の日々の生活は、一日の三分の一である8時間を概ね仕事に費やし、プライベートに概ね8時間、残る8時間を概ね睡眠に費やしています。そう考えると、ビジネス上の孤独や仕事上の人間関係も「仕事」として日々の三分の一ととらえることができます。
つまり、総じて見ても人生における三分の一であり、それが人生のすべてではないと思っています。ビジネスを離れた残りの三分の二は、リーダーという役割もなく、スタッフ皆と同じに平等です。

リーダーとしてビジネスに頭を悩ます時間は概ね人生の三分の一。
リーダーとしての役割で考えると孤独な三分の一かもしれませんが、孤独な立場故に得られる感覚、やぐらの上からしか見えない景色等々、リーダーの役割を本気で演じるからこその冥利もあるのです。

追記
孤独なのがリーダーとはいえ、その孤独な時間を少しでも短くすることができれば、会社として危機への対応時間も短くなります。その方法が「情報共有」であり、PROナビ(※)開発の思想でもあります。

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アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙