現在、既存ビジネスの根幹を大きく変化させるような動きが起こっています。例えば「フィンテック」や「超高速開発」などの新たなビジネスモデルは、既存ビジネスにおいて主役であった収入源を大きく変化させるかもしれません。そのような変化の中で、半期毎の予算・実績数字に管理者や現場担当者が追われていては、「木を見て森を見ず」といった事態に陥り、市場の大きな変化に対応できないのではないかと非常に危機感を感じています。新たなビジネスモデルで市場に出てくる企業は、既得権をもった企業と市場のニーズの矛盾点を突き、市場の支持を受けて既得権ビジネスを侵食してくるのです。

「フィンテック」

今現在、金融機関で融資を受けるとなると、厳しい条件に加えて、あたりまえですが融資額に見合う担保が必要となります。そして担保の中心は企業が所有する不動産が大きなウエートを占めることとなります。社歴の長い企業であれば、担保となる不動産を持っているかもしれませんが、新興企業はどうでしょうか?新鮮なアイデアやオリジナルな技術力を持っていたとしても、不動産資産を持っている企業は少ないのではないでしょうか。そんな状況も「フィンテック」で事態は変わります。 金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせたフィンテックという分野において、その一つである「クラウドファンディング」などは既に市場で話題になっています。クラウドファンディングでは、技術力や可能性、あるいは共感によって資金を集める(融資を受ける)ことが可能であり、金融機関ではあたりまえの担保は発生しません。 資金を集めたその企業や事業が行き詰ると、資金回収ができず不良債権化するというような課題は秘めてはいるものの、新しい技術はあるがお金がない、融資は受けたいが担保の不動産がないといった矛盾点をフィンテックがカバーしているため、市場において支持を受ける可能性を持っているのです。

「超高速開発」

自動車産業、家電業界、住宅業界問わず、あらゆる産業・業界で、非常に厳しいコスト競争を強いられている現在、先ずは市場が認める「価格ありき」で、その価格で販売しても利益が上がる物づくりが企業に求められています。IT業界においても例外ではありません。現状のコスト積み上げ方式のシステム構築費用を、市場がいつまでも認めてくれるとは限りません。先日も超大手企業のシステム担当の方が次のように話されていました。 『弊社独自の仕組みを設計し、外注で大手ベンダーにもの作りを依頼し、膨大な工数と費用をかけてはいるが「いつまでもそれでよいのか?」と社内でも声が上がっている・・・』そのような市場の矛盾点を突いて「超高速開発」ツールが登場しているのです。超高速開発は、アプリケーション開発の工数を劇的に短縮する開発支援ツールや開発手法なども含め、生産性の向上などシステム開発が抱える問題に対応する考え方や取 り組みです。機能的な課題や本当の利便性など、全体から見ればまだ小さく限られた市場ですが、IT業界の多くの分野において収益のビジネスモデルが変わる可能性を秘めています。

企業にとっては売上・利益といった数字の管理も非常に重要ですが、マネジメントが数字の管理にとらわれすぎると大きな変化に気付くのが遅れ、対応も遅れ、企業の存続自体が危ぶまれるのです。新たな収益源を確保することは一朝一夕にできるものではなく、相当の時間を必要とします。「木を見て森を見ず」とならぬよう、変化をいち早くつかむためにも、市場に接する販売現場、製造現場のスタッフの声が重要であると思っています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙