弊社は地域におけるSIビジネスからの転換をはかるべく、培った経験を活かしてPROナビ(組織営業力強化システム)を開発しました。PROナビの販売をはじめた当初、地域のお客様からは、どこにいっても先ず「PROナビはどのような企業が導入しているのですか?」と聞かれました。開発したばかりの商品で当然ながら導入実績はなく、そこで営業活動が行き詰まってしまうため、戦略の変更が必要でした。「著名な企業への導入実績を作らなければ地域での販売は難しい」それが私の判断であり、東京での販売活動を決断した理由の一つでもあります。とはいえ、地方の企業である弊社が通常の営業活動をしていては、顧客数ゼロの東京で受注実績を上げることは困難です。そこで、いままでの営業経験で築いたさまざまな人脈やあらゆるルートを辿って著名な企業へのプローチを行い、その活動のおかげで多くの経営者の方々にお会いする機会を得ることができました。その中でも、印象に残る経営者との面会についてご紹介します。

■A社
社員数1万人の企業の役員・幹部層へのプレゼン
プレゼンの場にお集まりいただいた役員・幹部の方々の中には、怪訝な面持ちの方も多々いらっしゃいましたので、私にとっては雰囲気がよいとは言い難いプレゼンでした。しかし、プレゼンが終わって失礼する際、A社の社長が直々にエレベータホールまで送ってくださり、「君には感動した」という思いもよらぬ言葉をいただき、少なからず驚きました。プレゼン内容以前に、付き添いもだれもつけず、一人でプレゼンをして一人で片付けて帰っていく姿に感動したと言われたのです。

■B社
大企業の系列企業の社長(社員数1,500人程度の企業2社の社長を兼任)へプレゼン
プレゼンをはじめた途端、B社の社長は難しい顔で目を閉じられてしまいました。プレゼンを聞いていただいているのか眠っていらっしゃるのか、全く判断できません。しかし、その様子からするとこちらの話に興味がないと感じたため、「このプレゼンは失敗だ」と落胆気味にプレゼンを終えました。するとB社の社長が「君たちの提案には共感する!」と言われたのです。半ばあきらめ気味だったため、予想外の言葉に喜びつつも、心の中では「それならそれらしい雰囲気でプレゼンを聞いてくれればよいのに」とも思いました。後にその企業と交流のある方から聞いた話によると、B社の社長はだれにも最初は同じ態度をとり、相手の知識や能力を試されているのだそうです。

著名な企業のトップ層との面会のチャンスを得たとしても、営業的に上手くいくこともあればそうでないこともあります。実際に東京で活動をはじめた最初の1年半程度は、受注も売上もゼロでした。ただ東京で多くの企業へアプローチした約10年の経験を振り返ると、最初から”ウェルカム”なよい雰囲気で面会できた企業とは、商談が上手く運んだ例が少ないのです。最初の面会で厳しい顔つきで対応されたり、いぶかしげな面持ちで迎えられたり、無愛想な態度をとられたりといった壁やハードルのようなものがあった場合の方がよい結果になっているのです。相手や状況に対して真剣な状態になればなるほど、飾り言葉や曲折的な表現は削がれ、厳しさが増すとも考えられます。そんな状況下の面会において何らかの共感を得た時にこそ、壁やハードルが取り除かれ、「本題」に入ることができるのだと思います。

さて、どちらかと言えば”ウェルカム”な雰囲気ではなかったA社とB社ですが、現在では弊社の大切なお客様になっていただいています。また、当時の社長であったお二人は、既にその会社を退かれていますが、現在でもいろいろな企業や経営者をご紹介いただくなど、弊社のビジネスをご支援いただき本当に感謝しています。

※PROナビ:弊社開発の組織営業力強化システム

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙