mailmagazine201302

「あなたからは殺気が出ています。その状態で部下を叱ると遺恨を残します。」

これは、私が師と仰ぐ地元のご住職に、はじめてお目にかかったときに言われた言葉です。
このはじめての出会いから既に30年来のお付き合いとなり、いろいろな場面で様々なアドバイスをいただいています。

1月のメールマガジンでも少し触れましたが、ご住職の教えはいつも言葉だけが頭に残り、本当の意味やご住職の真意をすぐには理解できないことがしばしばです。

しかし、頭に残ったその言葉にこだわって、本当の意味を理解したいと思っていると日常の出来事や経験を通してその言葉の本当の意味、ご住職が言わんとするところの真意が理解できるようになります。

2年ほど前、「怒りをもった発言、注意、指示をすると最悪の結果になります。」とご住職に教えていただきました。そしてその年、初詣で「おみくじ」を引いた際、「怒りは身を滅ぼす」と書かれており、偶然とはいえご住職の教えとリンクして深く心に残りました。

以前の私であれば、例えば会議の場で、予定していた案件の失注やはかばかしくない予算達成状況を聞いていると、目先の現象にとらわれすぎて「なぜできない?やる気があるのか!」という「怒り」が全面に出た発言をしてしまい、会議の雰囲気が非常に悪くなることも多々ありました。しかし、「怒り」を抑えると、「本来の会議とは何か?」という面から冷静に考えることができるようになったのです。

会議が、単に上からの指示伝達や実績数字の結果報告だけの場であれば、多くの経費と時間を使って関係者を一堂に集める必要はなく、データとして資料を配布すれば済むことです。

会議という場は、困難なことや未達成の問題を解決するために、関係者の知恵を出し合って解決する場であるということに気付き、以前に比べてその雰囲気も変わってきました。

1年ほど前のことですが、弊社の営業メンバーと打ち合わせを終えた私の部屋を弊社の取引銀行の外交スタッフが訪ねてきました。

隣の部屋で管理部門の責任者とその外交スタッフが打ち合わせを行っていたようで、私が本社に在席していることも少ないため「ごあいさつを・・・」ということで訪ねて来たのです。

一通りのあいさつが済むと、「いま、社員の方と打ち合わせをされていたのですか?笑い声がでていましたね。」と、その外交スタッフが不思議そうに私に尋ねました。恐らく、社長との打ち合わせや会議といった場は、笑い声がでるような雰囲気ではないという認識が彼にはあるのでしょう。

会議のメンバーが真剣に考えを述べながら、時として笑いが起きるという打ち合わせ・会議というのは、私が経験する限りその内容は非常に有効的なものです。

企業上層部が出席し、うやうやしく静まりかえった会議では、出席メンバーは自分が槍玉に上がるのを恐れ、目立たないように嵐の過ぎるのを待つのみで会議としての内容が薄くなります。

その結果、業務終了後の飲み屋で、不平や不満を盛り込みながら「会議の後半」が始まることがほとんどではないでしょうか。

プロジェクトや計画の失敗なども、「怒り」が先行すると解決のための本質・本来の目的から離れてしまい、責任の所在探しが中心となってしまいます。その結果、本質の部分での解決には至らず、同じ失敗を繰り返すことになるのです。

「怒り」を抑えると本質が見えてきます。
感情より目的意識が強いのがプロフェッショナルであると私は思っています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙