私は営業活動やセミナー・研修等を通じて数多くの方と名刺交換をします。
その名刺を拝見すると、ほとんどの方に役職が記載されており、役職のない名刺を見ると妙に新鮮さを感じるほどです。
最近ではバラエティーに富んだ部署や役職も多く、役職名だけではどのようなポジションであるのかを容易に想像できないことも多々あります。

「役職」というのは、本来、業務を執行するために必要だからあるべきものだと思うのですが、様々な役職の数々を目にするとそれらは

 ・本当に必要性を持って与えられたものなのか?
 ・名誉職として権限のない役職を与えられているのではないか?
 ・必要のない役職を乱発しているのではないか?

と思ってしまいます。

役職というのはいわば内部都合のものであり、必要性がない多くの役職を乱発するというような行為は、市場のニーズから乖離する大きな原因にもなりかねません。
役職が増えるということは単純に役職者=管理者が増えることであり、役職者が増加するにしたがって管理意識も強くなります。
その結果、管理コストの増加につながり、コスト競争力が低下することとなります。
それだけでなく、役職の数、役職の階層が増えるにしたがって、情報(現場の事実)が上層部に上がりにくくもなります。

弊社が業務改善のご支援を行った大手メンテナンス会社の例です。

この会社は役職者が多く、役職のない現場スタッフが少ないという人員構成でした。
業務改善に関して弊社がその会社の役員会の場で報告した内容は、

「御社は直接のプレーヤーである現場スタッフが少なく、観客席から頑張れと声を
かけている応援団(役職者)が多すぎます。応援団の人数を削減してプレーヤーを
増やしたら業績はアップすると思います。」

というものです。

別の例ですが、大手電機メーカーの支店長の話しです。
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 以前は「支店長」という肩書きにはそれなりの権限があった。
 しかし、現状は業務に関する直接的な権限のためというより、支店の管轄する地域の付き合いのためにそのポジションが存在しているようなもので、言い換えると「町内会長」のようなものになっている。
 名前だけの支店長という実情を知っているため、大半の若手スタッフは「支店長になりたい」とは思っていない。
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名前だけの権限のない役職になりたいとはだれも思わないし、そのことが現場のやる気やモチベーションを下げているともいえます。

また別の例ですが、機械工具を販売する商社の部長の話です。
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 病気療養のため半年ほど会社を休んでいたとき、自分の管轄する現場が以前より明るくなりチームの業績も今までになく良くなっていた。
 それを休養明けに出社した際に聞いてショックを受けた。
 なぜなら、自分は一生懸命に部下にアドバイスを行い指導してきたつもりだったから。
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部長というポジションに必要とされる管理・指導がなされなければ、現場のやる気・モチベーションは上がりません。本人の意図に反して、意味のない管理・指導になっていたのであれば、経費をかけて効率を悪くしていたともいえます。

バラエティーに富んだ役職名の数々を見ながら、役職の意味や価値を改めて考えてみました。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙