前回のメールマガジンにも記載しましたが、現在の市場はほとんどの業種において供給過多となり、同じような商品・商材、サービスで企業間競争をしている状況です。
そのような状況で企業が勝ち残るためには、「for the team」という意識が大きく影響すると私は思います。

スポーツに例えると、サッカーやラグビーのようなチーム競技ではまさに「for the team」が基本となります。「自分が一番目立ちたい」、「自分が得点を決めたい」と、他のプレーヤーのことを考えない個人プレーに終始して皆がバラバラに動くと、チームとしての勝利は望めません。
チーム競技においては、個々が自分のためだけでなく他のプレーヤーがそれぞれの役割を演じやすいように考えてプレーします。つまり、個人の損得ではなく、チームの勝利のために全体の損得を考えたチームプレーが必要なのです。

一方ビジネスの世界においてはどうでしょうか。

企業・組織というチームメンバーでありながら、個人の営業成績や自部署の予算達成率を中心に損得を考えて行動することが多いのではないでしょうか。スタッフ個々が個人的な損得勘定や自部署だけの利害を考えた行動をするのではなく、他のスタッフのため、他部署のため、すなわち「for the team」の意識を持って行動し、管理者も「for the team」を中心としたマネジメントができるかどうかが、現在の市場で勝ち残るためには必要だと思います。

さて、現在では情報共有のツールとして、様々なシステムを多くの企業が導入しています。しかし、本当に情報共有ができているかというと、残念ながら本来の目的としてシステムが機能していないことが多いように見受けられます。

市場の声、市場の動向、市場の変化を最初につかむのは、お客様(市場)に一番近い位置で接する現場スタッフです。その現場スタッフが情報共有ツールに現場の事実を入力することが本当の意味での情報共有になるかと思うのですが、実際には入力自体が非常に少なく、現場の事実も情報として吸収されていない状況のように思われます。

ではなぜ入力が少ないのか?その原因として次のようなことが考えられます。

(1)入力するのが手間である。
(2)入力しても自分に恩恵がない。
(3)実績数字の管理によるマネジメントと、それに基づいて評価されるシステム。

(1)、(2)は、自分が情報を入力するのは自分や自部署のためだけでなく、他のスタッフや他の部署、結果として会社全体のためという「for the team」の意識が希薄であることが影響しているかと思います。

組織を構成するメンバーに「for the team」の意識が欠落すると組織の体をなさなくなり、最終的には市場から退場を求められることになると思います。

(3)については、現場スタッフの責任というより、マネジメントを行う上層部・管理者の問題です。今までどおり売り手の都合で決めた予算数字と、それを達成するためのスケジュール管理、実績数字(結果)中心の評価では、現場スタッフが情報共有ツールに情報や行動を入力する意味がないからです。

営業の提供した情報により技術・開発が助かる、技術・開発の提供した情報で営業が助かるといった経験を重ね、会社が発展するために必要な他のスタッフ・他部署への支援や手助け、すぐに実績数字にはならない新規開拓の行動の見える化、それらに対する上層部・管理者の評価が得られれば、手間をかけて情報共有することの恩恵を実感し、自身のためだけでなく「for the team」の意識も芽生えてくるのではないでしょうか?

その結果、個人や自部署の損得勘定での行動から脱却し、組織連携・チームプレーが可能となり、日本企業の強さが発揮できるのだと思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙