会社の業績が悪くなると、多くの組織では責任がどこにあるのかその所在を探しはじめます。

その結果、組織としての「管理の仕組み」強化に取り組んでいるように感じますが、本当にそれで業績がよくなるのでしょうか?
残念ながら「管理」という仕組みの強化で、業績が継続して改善した例をあまり目にしたことはありません。
業績悪化の改善のために限らず、ほとんどの企業で情報共有のためになんらかの仕組みを導入されていますが、折角の仕組みが使われていない、あるいは本来の機能を果たしていない例も多々あるようです。

仕組みが使われない・機能しない理由は何か?
その理由は次の2つに集約されるのではないでしょうか。

1.欠点探しのマネジメント

情報共有を目的としたシステム(仕組み)に対し、スタッフはそれぞれ日報、あるいは自身の行動計画や報告を登録します。ご経験の方も多いかと思いますが、新たなシステムを導入すると、その効果よりもまず「手間が増える」という感覚が先行します。
特に現場スタッフは、忙しい中で新たな手間をかけて情報を登録しているという意識が少なからずあるはずです。

その情報に対して管理者は、管理者自身も気が付かないうちに各スタッフのできていないところ、不適切なところ、また管理者にとって不都合なところを見つけて指摘してしまいます。
つまり、管理者がスタッフの欠点を探すマネジメントをしてしまうのです。
管理者がスタッフの欠点探しをマネジメントとして行うことで、スタッフそれぞれも上司である管理者の欠点を探しはじめ、部署・会社全体がネガティブなスパイラルに陥ってしまいます。

欠点探しのマネジメントの結果、スタッフは失敗のリスクが高いことや新たなことには挑戦しなくなります。失敗しても責任を負わないで済むことや失敗の影響が少ない範囲での行動、つまり、今までと同じことを繰り返すようになるのは自然の成り行きと言うしかありません。

しかし企業は、今までと同じビジネススタイル、技術、知識、アイデアを続けていては生き残れません。生き残るためには常に改善・改良が必要で、そのためには、スタッフが新たなことへ挑戦することが必要となるのです。
欠点探しのマネジメントから、長所を探し活かすマネジメントに変えない限り、スタッフのモチベーションは向上しないのではないでしょうか。

2.基幹システムと連動した情報システム

大手企業においては、現場から経営上層部まで、情報系から基幹系までつながったシステムが構築されていることが多いのですが、計画時の想定通りに動いていない場合が大半です。

情報は事実がありのままに共有されてこそ、問題点の改善や新しい取り組みへと活かされるものなのですが、基幹システムと連動した情報システムでは、事実が事実のまま伝わらない(伝えない)という現象が起きます。
それは、現場スタッフが現場の事実を伝えると現場スタッフ自身が不利益を被ってしまうからです。

現場スタッフが現場の事実を上げると、情報をキャッチした上層部は、上層部の都合で自身の不安を解消するためのマネジメントを行います。

例えば、当初計画より予算が増えたり、現場への管理が厳しくなったり等々、現場スタッフは事実を上げたことにより自身に降りかかる不利益に苦しむことになります。
そのうち、事実を事実として伝えなくなり、上層部・経営企画レベルへ伝えられる情報は、事実とは言い難い内容に変形や削除がされ、現場の事実とは乖離した内容になってしまうのです。

基幹システムと連動した情報システムではなく、部署・部門内でフレキシブルに使え、かつ、上層部は必要最小限の情報をそこから取りこむといった仕組みにしなければ、現場は事実を事実として登録・記載できないのではないでしょうか。

・欠点を探し指摘するマネジメントから長所を探し活かすマネジメントへの変更
・基幹システムと連動した情報システムの見直し

情報共有ができない仕組みの改善が、情報共有の実現と業績改善のステップになると思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙