数字以外の財産【アスクラボメールマガジン】

弊社は毎月の責任者会議で、予算数字に対する達成率・前年対比のデータを確認しています。
先月の責任者会議でのことです。予算は未達成で前年対比も下回っており、数字だけ見ると暗く重い雰囲気が漂ってもおかしくない状況であるのに、各部の責任者の表情が妙に明るく見えました。
そこで、数字は良くないのに、なぜそんなに明るい表情なのかを質問しました。
すると彼等の回答は「やるべきことをやっているからです。」というものでした。
かくいう私も、経営者として常に心配はあるものの、現状に大きな不安を感じていませんでした。
なぜなら、今現在は結果として数字に表れていなくても、将来必ず数字となって表れる「財産」が、私にははっきりと見えていたからです。つまり、責任者同様に「やるべきことをやっている」という実感を持っていたのです。

弊社で情報共有ツールとして用いているPROナビには、現場スタッフの日々の活動が日報として入力されています。その中に「組織としてのチームプレイ」や「各自のスキルアップ」、「全体のモチベーション」、「商談ステータスの明確さ」、「チームとしての学び」など、結果としてすぐ数字に表れにくい財産、つまり「数字以外の財産」が見えるのです。

例えば、以前の弊社の営業スタイルは次のようなものでした。
お客様へ提出する提案書は、技術担当者がほとんど作成し、ユーザーへの説明も提案書を作成した技術担当者が行うといったスタイルでした。しかし、現在では営業担当者と技術担当者が相談した上で、営業担当者が提案書を作成するというように変化しているのです。

また、一度受注すると営業担当者は他のユーザーへと目を向け、受注した案件に関する対応は技術担当者へ『まる投げ』といった状態でしたが、現在はPROナビで営業担当者の情報が技術担当者へ、技術担当者の情報が営業担当者へとプッシュ式に送られるため、お互いの状況がわかり、トラブルが発生した際も、お互いに責めたり、押し付けたりするのではなく、助け合い、チーム・組織としての対応ができています。

各部署や個人個人においても、過去の失敗・成功例を参考に対策を立て、成長していることが、PROナビの日報で日々確認することができます。

上記のような変化をPROナビから読み取ることができ、これが今現在は数字として表れてはいないが、将来必ず数字となって表れる数字以外の財産なのです。

既存ユーザーに対してリクエストに応える御用聞き的な営業を行っていたのでは、会社が望む予算に達して、売上・利益ともに達成することが困難です。
予算の不足分に対しては、ユーザーが気付いていない課題を見つけて提案するか、新規開拓によって新たなユーザーを増やすしかないのです。

しかし、提案営業も新規開拓営業も数字として上がってくるまでには時間がかかります。さらに、管理者には提案・新規開拓の営業スタイルにあったマネジメントが必要となります。

そのマネジメントの裏づけとなり、また、方向性が間違っていないかどうかの判断を手助けするのは、まさに「数字以外の財産」が見えているかどうかだと思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙