1.市場の変化を先取りできれば、利益を上げることができる。
2.市場の変化に対応できれば、会社は存続することができる。
3.市場の変化に未対応であれば、会社は存続できない。

以前読んだ本に書かれていたと記憶しているのですが、弊社も上記1の市場の変化を先取りするための努力をしています。

売上や利益などの実績数値データは、行動の結果として出てくるものであるため、数値を確認できた後の対応では手遅れとなります。数値データだけでは、市場の変化を先取りすることは困難です。

市場の変化を的確に掴むため、そして素早く対応するためには、市場に近く、お客様と直に接している現場スタッフの行動を知ること、現場スタッフそれぞれが感じたこと(所感)を集めることが重要です。これを弊社では、組織営業力強化ソフト「PROナビ」の日報機能に所感を記載することで、実践しています。

市場の変化を先取りするために、現場スタッフに事実と正直な所感を入力してもらうには、マネジメントの変更が必須となります。
現場スタッフがつかんだ事実やスタッフの正直な所感は、批評や批判、クレームなどが数多く含まれており、経営者・管理者にとっては面白くない、耳障りな内容がほとんどです。現場のスタッフが入力した情報が、上司にとって歓迎できない情報であった場合、上司がその現場スタッフを叱り付けるというようなことをしてしまっては、二度と現場の情報は上がってこなくなります。

弊社では、かつてこんなことがありました。

コンサルティングを含めたSI構築を受注し納入を終えた後、このお客様からはその後もいろいろな商談が発生し、弊社はそのつど対応をしていました。
担当営業の日報を見ていると、頻繁にお客様との価格交渉が記載されており、私も正直なところ「価格に細かいユーザーだな」と感じていました。
しかしある日、同じお客様に出向いたCEの日報を見て、記載されている内容にびっくりしました。弊社CEがそのお客様のところへパソコンの修理に出向いた際、たまたまそのCEを見つけた幹部の一人が、「御社は無責任な会社だ、
コンサルティングから基幹システムの付き合いをしているのに、最近御社の幹部は挨拶にもこないじゃないか!」と怒られたと書かれているのです。私は慌てて担当営業をつれてお客様を訪問し、事なきを得ました。
私はその営業担当者に、「なぜ君の日報とCEの○○君の日報とは内容が全く違うのか?」と尋ねました。すると、「○○君は正直ですから」とその営業担当者が答え、私は唖然としてしまいました。

当時の弊社は、営業会議では予算などの数値管理中心で叱咤激励を行い、また管理者自身や会社に都合の悪い情報・事実が入力されると、マネジメントと称して現場スタッフを怒ったり、詳細な報告書の提出を求めたりしていました。
つまり、現場スタッフは事実を入力したために上司に怒られたり、余計な作業が増えたりしていたのです。それを考えると、会社の体制や対応についての日報を上げなかった担当営業を責めることはできず、致し方ない状況であったと思います。

事実を記載しても、責められず、被害を受けない体制。むしろ事実を記載することが、市場変化の先取りにつながるという面で評価される体制。そのようなマネジメントへの変更が必要だったのです。

マネジメントを変更してからも、正直に書くと上司に呼ばれて注意を受けるのではないか、事実を記載することで自分が損をするのではないかと、しばらくはスタッフも半信半疑でいたようです。
しかし、現在では変更後のマネジメントが理解され、正直な所感、事実が記載されているように思います。

経営者・管理者にとっては、「受注した」「失注した」という単に結果だけの情報でなく、どのように活動し、どのような資料を提出し、技術スタッフはどう行動し、管理スタッフはどんな協力をしたのか、といった過程にまつわる情報を知り、またなぜ受注できたのか、なぜ失注したのかという理由を知ることが重要です。

現在の景気、経済状況は、弊社にとっても大変厳しいものです。
しかしながら、弊社では現場スタッフの日報に記載される事実、所感、受注できた履歴、失注した履歴をもとに市場の変化への対応を行い、市場の変化を先取りすることへ繋げています。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙