時間に対する意識【アスクラボメールマガジン】

私は昨年、システム開発プロジェクト参加の為、東京のお客様先へ半年間常駐させて頂く機会がありました。
下記はその常駐時の、プロジェクトリーダの方と1メンバーである私との受け答えの1コマです。読者の皆様にも、上司部下の間で、あるいはお客様との対応において、常々こういったやり取りが繰り返されているのではないでしょうか。

■「こんな事に3日もかかるのか!」と言われた時

ケース1
  「こんな事に3日もかかるのか!」
  「いや・・・その・・・」(3日かかる根拠が説明できず言葉に詰まる)
  「考え直して来い!」
  「・・・はい」(返す言葉も無く引き下がる)

どうして返す言葉も無く引き下がったのか?それは、その仕事にどうして3日が必要なのかという根拠があまり明確でなかったからです。

ケース2
  「こんな事に3日もかかるのか!」
  「いやむしろ5日は頂きたいところなんですが。」
  「え?どういう事?」
  「○○もしなければならないし、△△の検討も必要です。
   ただ3日以上割けないとの事なので、
   なんとか3日以内で終わらせる段取りを組みました」
  「・・・なるほど、じゃあ宜しく頼む」

他のスタッフが同じようなことを聞かれた時のやりとりですが、傍らで聞いていて感心させられました。
私にはこういう巧みな切り返しはできません。
「本来なら5万円のところを、今回は大特価3万円で・・・」のような商売文句に比喩するのも変ですが、テクニックを感じました。ただこういった回答ができるのも、やるべき事の筋書きやイメージが正しく整理されていればこそです。

■「ここはどういう作りになってる?」と聞かれ、分からなかった時

ケース1
  「ここはどういう作りになってる?」
  「あの・・・そこは・・・調べないとわかりません」
  「じゃあ、いつになったらわかる?
   その小さな遅れの蓄積が、大きな遅延になるんだ!」

本当におっしゃる通りで、後日、後日と調査が先延ばしとなったり、またその調査を忘れてしまったり、結果、大きなご迷惑をおかけすることにつながるのです。

ケース2
  「ここはどういう作りになってる?」
  「(不確かだけれど・・・)○○になっていると思います。」
  「了解。ありがとう」

その場は切り抜けられても、不確かな回答に不安になり、後で調べて間違いに気づいた時には慌てることとなります。即座に訂正謝罪しなければ、多大な被害に繋がる場合もあるのです。私は相手の話のペースにつられ、ついついこのように答えてしまいがちなのですが、一番危険なケースだと感じました。

ケース3
  「ここはどういう作りになってる?」
  「1分下さい。すぐ調べて報告します。」
  「じゃあ頼む。別に10分かかってもいいから、ちゃんと調べてくれ。」

これが正解だったように思います。
わからない事はわからないと認め、報告の期限を添えて伝える事で納得して頂けました。

■時間に対する意識

私はそれまで、自社にて主にPROナビパッケージ開発に携わっていたので、半年間もの客先常駐の経験はその時が始めてでした。常駐させて頂く中で強く感じたのは、時間に対する意識の違いでした。
上記ケースでも、一貫して「問う側」と「問われる側」の時間意識の差が顕著に現れていると思います。自社で仕事をしている時と比べ、時間に対してずっとずっとシビアでした。
それは単に資料作りの速さ、プログラミングの速さといったスキル面での話や残業や休日出勤をして、あるいは休憩時間を削って・・・といった話ではありません。
特に「相手に無駄な時間をとらせないように」という事を自分なりに考えるようになり、それをキッカケにして、些細なことですが、下記のような心がけに取り組みました。その結果、自分の行動の1つ1つの意味が、少しずつ濃くなったような気がしています。

・相談をする場合でも、ただ漠然と相談に行くのはやめよう
・今日の会議では、ここまでは必ず決めよう
・プロジェクトメンバーが待ち状態にならないようにしよう
                                     etc

小さな受け答え1つにしても、意識の持ち方で相手や自分の無駄な時間を削減でき、より安全でスピーディな対応につなげられる事を、半年間の常駐で実感する事ができました。

(アスクラボ株式会社 ソリューション技術部 堀 功)