7~8年前に「失敗の本質」という本を購読したことがあり、会社経営の参考にさせていただいています。この本は、第二次世界大戦における日本軍の敗退のことが書かれているのですが、企業経営の参考になるというのは、例えば次のようなことが書かれているからです。

日本軍指揮官は、学歴・人脈・家柄を重視して選ばれていました。つまり今で言うエリート達です。そしてエリート指揮官の彼らほとんどが、戦いの前線から離れた場所で戦略を立てていました。戦争現場の現実・実態を掴まずに戦略を立てて指示を出していました。また、組織の壁が多く、現場の情報が彼らの戦略に生かされることも少なかったようです。

さらに、作戦が失敗しても、その作戦を立てたエリート指揮官・幹部達の「面子」を重んじて失敗原因の本質が公表されなかったため、結果として判断が遅れ被害を大きくするとともに、失敗原因の本質が次の作戦に生かされなかったため同じ失敗を繰り返してしまったということです。日本軍の組織が正常に機能したのは平時であり、軍隊の目的ともいえる緊急時には、その組織が正常に機能しなかったということです。

■現在に置き換えると・・・

現在の企業経営に置き換えてみると、同じような現象をよく目にします。
派閥・人脈・学歴で管理職に登用され、現場へ出向き本当の情報を掴むという努力を怠り、数字が中心の管理で現場スタッフを叱咤激励して成果を出そうとしています。

経営戦略において、その戦略が失敗しそうな前兆を現場が感じたとしても、それを発言すれば指示を出した上司ならびに戦略を立てた経営幹部の顔を潰すことになり、その後の人間関係への影響を恐れて、結果として判断が遅れて被害が大きくなります。

これは企業内における昇進に関しても、学歴・派閥・人脈など上司との人間関係の影響が大きく作用している結果ではないかと思われます。

現在の企業組織でこのようなことを続けていると、平時(好景気で作れば売れるような時)においては、売上・利益を稼ぐことは可能かもしれませんが、経営環境の変化やIT化による情報のスピードが速く、企業間の競争が激しい時代において、対応できるかどうか疑問に思えます。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙