日常私たちは、新聞やテレビなどでいろいろな広告やコマーシャルを目にしますが、 いきなりその広告の細かい文章に目を通したり、コマーシャルの内容に注視したりするわけではありません。新聞の広告であれば、まずタイトルやテーマ、キャッチコピ ーを見て興味がある内容であれば詳細な文章に目を通すはずです。テレビのコマーシャルであれば、出だしのキャッチフレーズで興味が惹かれれば、あるいはメリットの ある内容であれば耳を傾け、テレビ画面に注目するはずです。

経営者層との面会においても同じです。 「30分のアポイントが取れたとしても、30分の時間が自分に与えられたわけではあり ません。最初の3分をどう対応するかによって残り27分の密度は決まってしまいます。」 これは2008年8月のアスクラボメールマガジンの内容です。 この時のタイトルは「最初の3分 説明は1分 質問は10秒」でしたが、5年経った現在では「最初の3分」が少し凝縮されて「最初の1~2分」という感覚になっています。大事な商談でお客様とのアポイントが取れたとしても、その面会の成否は最初の数分で決まってしまうことが多々あります。最初の1~2分の会話内容が、広告のキャッチコピー、コマーシャルのキャッチフレーズの役割をするのです。
相手は興味のある内容かどうか、メリットのある内容かどうかを最初の1~2分で判断します。興味やメリット、期待や共感を持ってもらえる会話ができれば、より詳細な話へと展開するチャンスが生まれます。そうでなければ興味の惹かれなかった広告やコマーシャルと一緒で、次への展開・次回の面会へとつながるチャンスは限りなく低い確率となります。

以前、私が大手電機メーカのトップであるA氏とお会いした時のことです。 懇意にさせていただいている出版社の方にお願いをしてA氏との面会が叶ったのですが、 A氏にしてみれば諸々の付き合いの事情で「断りきれず・・・」という状況だったかと思います。30分という限られた面会時間の冒頭、私が話す前にA氏は難しい顔で「君は今日、私に何を話したいの?」と切り出されました。 私は単刀直入に、「弊社の営業力強化案が御社に通じるものかどうかお聞きしたいと思 っています」と答えました。次にA氏は「君は営業のプロらしいね?」と、紹介者が私 について話したであろうことをご自身で確認されるべく聞いてこられました。それに対 して私は、「プロを目指しているのは間違いありません。」と答えました。 するとA氏は「では、今日の面会のために私のことをどれだけ調べてきた?」と聞かれ ました。「営業畑のご出身であること、また以前にマスコミの取材を受けられた際に 『きれいごとはよいから現場の泥臭い話が聞きたい。』とおっしゃられたとお聞きして、 イメージをしてきました。」と答えました。ここまでの会話のやり取りが1~2分程度でした。その後はやわらかい雰囲気となり、内容のある30分間という時間を過ごすことができました。

面会相手の役職が上がれば上がるほど、相手の時間は限られます。限られた時間を内容 のある時間とするためには、短時間で本質を伝える必要があります。それを実感したか らこそ、5年前の「最初の3分」がより凝縮された「最初の1~2分」へと変化したのだと思います。日常から言いたいことや説明したことを1~2分で話せるように、要点を短くまとめて話すようにする習慣づけが必要なのです。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙