「あたり前」や「当然」の中にあるノウハウ【アスクラボメールマガジン】

私はIT企業の社長という立場ですが、ハードやソフト、ネットワークに関するスキルは持っていません。そのため、弊社のスタッフがごく普通に交わす会話や、社内・社外での説明を聞いていると、皆それぞれに知識・スキルを備えていて「すごいな!よく勉強しているな!」と感心することが多々あります。
そして感心すると同時に「この会話や説明が有償化できるのではないか?」と思うのです。
率直に「いま、私にしてくれたその説明は価値がある!パンフレットにしたらお金になるのではないか?」とあるスタッフに問いかけると、「こんな説明はできてあたり前で、珍しいことでも特別なことではありません」と一笑に付されました。

しかし、そのスタッフが「あたり前」という背景は、同じようなIT業種の、同じような経験者を基準としたことであり、他業種や技術経験の無い人、まったく畑違いの業務に携わる人にとっては、決して「あたり前」のことではないのです。

「価値」というのは、どんな場面でも・誰にとっても同じというものではありません。
「価値」というのは一様ではなく、場面により、また人によりそれぞれ違います。

前述の内容でいうと、弊社のスタッフにとっては「あたり前」=価値が無いと思うことも、私にとっては「特別なこと」=価値があるのです。

先日のことですが、技術スタッフを交えて会議を行っている最中に社内システムがダウンしてしまいました。技術スタッフの若いSEが会議を抜けて初期対応を行いましたが、原因がつかめなかったため上司である管理者SEも加わって対応にあたり、約2時間後に無事復旧しました。
会議途中の対応だったため、復旧に至るまでの技術スタッフの対応と行動を目の当たりにした私は、システム復旧に対応する知識・技術だけでなく、解決に至るプロセスに対しても「やはり皆すごいな!」と感心してしまいました。

原因不明のシステム障害に対し、復旧までの技術スタッフの対応・行動は次のような流れでした。

1.若いSEが、今までの自身の経験の中から類似する障害データを探す。
2.自身の今まで経験の中には、類似データが無かったため、自分の持っている知識の範疇で、可能性の高い要因から推論を立てて確認する。
3.上記1、2では対応できないことが確認できたため、管理者SEが対応支援にあたる。
4.管理者SEが、自身の経験の中から類似する障害データを探す。
5.管理者SEの経験の中にも、類似データが無かったため、若いSEの知識に管理者SEの知識を付加して、可能性の高い要因から順に推論を立てて確認する。
6.上位の要因による推論が当たり解決。
7.システムが復旧する。

このようなケースは技術部門にかかわらず、営業やマーケティング部門、管理業務の部門など、すべての業務に共通します。

対応にあたった技術スタッフ達は、自分たちの業務として当然の対応をあたり前に行っただけという表情でしたが、障害対応のプロセス・問題解決のノウハウとして、私には大変「価値がある」ものでした。

「あたり前」や「当然」の中に、可能性を秘めた「価値」や「ノウハウ」があるのです。

(追記)
弊社開発のPROナビには、全社員が商談に関する日報、あるいは業務に関する日報を日々入力しています。この、日々入力される「あたり前」で「当然」と思う出来事や行動に、場合によって・相手によっては価値を持ち、会社に収入をもたらす「源」となる可能性が潜んでいます。
PROナビは、「あたり前」や「当然」という意識で個々の中に埋もれてしまうノウハウを、日報という情報にすることで、社内の共有情報に変えることができます。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙