前倒し・見せかけの経営のリスク【アスクラボメールマガジン2018年2月】

ビジネス社会において、売上金額や利益、研究開発などの成果をより早くと期待するのはごく自然のことだとは思います。しかし、それが強すぎると、案件進捗、ものづくり、開発などを実態より前倒しで評価・処理するようになり、その結果「利益の先取りや経費の先送りをした決算」、「前倒し・見せかけの経営」となってしまいます。

弊社でも、以前は社内で商談のステータスにランクをつけて、会議の際には商談の進捗および今後の対応などを報告させていました。しかし、その報告に実際のステータスや進捗とはかけ離れた内容が含まれるようになり、企業・組織として大きなリスクを抱えることとなりました。例えば、ある商談について、社内の商談ステータスで受注が近い上位の確度Aランク
と会議で報告するものの、実際には、お客様の内部でまだ稟議の許可も下りる状況ではなく、商談ステータスは中程度の確度Bランクだったという事例や、見積提出案件が複数あると報告するものの、実際には、こちらからお客様に「見積だけでも提出させてください」と頼み込んで提出しているだけで、商談自体は停滞しているという事例がありました。その他にも、受注を急ぐあまり相手の要望を拒否できず、「何とかします」と無理な要望を引き受けた結果、大きな損失を被ったことも何度かありました。これらの原因は、会議で実態を正直に報告できなくなっていることが原因です。では、なぜ実態を正直に報告できないのでしょうか?それは、上層部によるスタッフの評価が、実績数字や進捗状況に重きを置いていることに起因していると思われます。一部のスタッフが上層部の評価を目的に「前倒し・見せかけ」の報告を始め、そのスタッフが上層部に評価される様子を見て徐々に同じ行動をするスタッフが増加し、結果、会社全体の風土自体が「前倒し・見せかけ」の報告が当たり前になってしまったのです。上層部の評価を目的として、実態とはかけ離れた報告のための資料を作ったり、現実とはかけ離れた商談について会議時間を費やしたり、全く非合理的な活動によって企業運営上の大きなリスクを感じることとなったのです。

将来を見据えた会社の風土づくりのためには、事実に基づいたマネジメントを行う必要があります。そのためには営業の現場、ものづくりの現場、開発の現場、経理の現場それぞれの事実・情報を知ることが必須であり、上層部は管理するのではなく現場の情報を教えてもらう必要があります。前回のメールマガジンで記載しましたが、「学ぶ姿勢」があれば情報は集まりやすくなり、「管理・指導の姿勢」が強ければ情報は集まりにくくなります。弊社開発のPROナビ(※)は、まさにその現場の事実・情報を共有するための仕組みです。

「前倒し・見せかけ」の情報でマネジメントを行うと、取り返しのつかない問題が発生する可能性が強まります。新聞やテレビニュースを騒がせた、大手企業の偽りの決算報告や著名な研究機関の偽りの論文データなどは、大手企業・著名な機関といえども一瞬で経営危機に陥り、一瞬で信用を失うことになりました。これらは成果を急ぎ期待した「前倒し・見せかけ」の結果に他なりません。

※PROナビ(弊社開発の組織営業力強化システム)は、日常の簡易な情報登録により、現場支援、現場から学ぶ、全スタッフが成長することを狙った仕組みです。

                     アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙