市場やお客様が求める行動【アスクラボメールマガジン2016年12月5日号】

知識や知恵、アイデアなどの付加価値で戦うのか?
あるいは、低コスト作業をメインに戦うのか?
弊社の方針を考えたとき、やはり前者であると私は考えています。そして、おそらく弊社スタッフのほとんどが同様に、知識や知恵、アイデアなどの付加価値でビジネスに臨むべきであると考えています。しかし、以前の弊社は違いました。

以前の弊社では、SE(技術者)は夜遅くまで残業するのが当たり前で、営業が勝手なことを言って受注するからSEにしわ寄せがくると考えており、逆に営業側はSEに交渉力がなくスキルもないと考えていたため、正直なところSEと営業の仲が良いとは言えない状況でした。SEの残業はほとんどが「片付け作業」で、営業と技術の組織連携がない状態では、先行する同業他社に対して知識や知恵、アイデアなどの付加価値で対抗するどころか、戦う前に既に社内で負けているという状況でした。
また、その当時の社内会議といえば、実績数字のチェックがメインであり、課題の本質を議論する時間はほとんど取っておらず、結果として課題解決のための対策が先延ばしにされていたのです。

そんな状況を解決すべく、自社開発の組織営業力強化システムPROナビを活用し、人間系の改善とツールを利用した改善に取り組みました。
裏付のない"数字ありき"のマネジメントからの脱却と市場やお客様が求める行動により、結果として実績数字を上げることを目標に掲げ、具体的には次の3つの課題解決を目指しました。
1.「片付け作業」の残業が当たり前の環境からアイデアを生む環境づくりへ
2.営業と技術を中心とした組織連携・チームプレイの改善
3.数字中心の会議から、課題の検討・解決の会議へ

1.「片付け作業」の残業が当たり前の環境からアイデアを生む環境づくりへ
この課題の原因は「予算」にありました。
期の初めに各部署で予算を作成し、それに対して会社として希望する数字を上乗せしていましたが、上乗せした差額分は各部署にとってみれば全く裏付けのない数字であり、現場のスタッフも具体的な組み立てはできません。
そんな状況であるにもかかわらず、会社の雰囲気に押されてさも予算が達成できそうな資料を作成し、数字中心の会議の場を繕い、結果的には期末に未達成となる繰り返しで、冷静に客観的に見れば意味のない無駄な時間を費やしていたのです。そのための対策として、会社が予算数字を上乗せするのではなく、部署における行動に主眼を置いた「行動予算」をメインとするよう方針転換しました。上乗せ予算に対する現場の取り繕いの資料作りや会議をやめて「時間」を作り、残業を削減して定時勤務を目指し、頭と体を休めて「作業的な仕事」から「アイデアを生む仕事」ができるように環境を改善しました。

2.営業と技術を中心とした組織連携・チームプレイの改善
この課題については、営業・SEが相互に「自分の部署が一番大変!他の部署は自分たちより楽な仕事をしている!」というイメージを持っていたため、PROナビを活用してお互いの日常の仕事をオープンにすることに取り組みました。
自らの行動をPROナビに登録することで、どのような業務にどのようなボリュームで取り組んでいるのかを、他部署や上司に知らしめることができます。逆に、他のスタッフの行動もオープンになるため、「大変なのは自分だけではない」ということを相互に理解することができ、協力・組織連携が可能な環境へと改善ができました。
現在では、PROナビに営業の情報がきちんと登録されている案件から、SEが優先的に対応するというベースができたと思っています。

3.数字中心の会議から、課題の検討・解決の会議へ
この課題は、1.であげた「行動予算」への方針転換により、実績数字をチェックするだけの会議からの脱却に取り組みました。加えて、お客様・商談・市場に接している現場スタッフの情報・意見・考えをPROナビへ登録することに取り組みました。
役職や経験に関係なく「one of them」の意見としてPROナビに情報・意見・考えを登録することにより課題の本質を共有化することができ、ました。さらに相乗効果としてスタッフの「感じる力」を磨くこともでき、新たなコンテンツのアイデアも生まれました。

市場やお客様が何を、どんな行動を求めているのか? これからも知識や知恵、アイデアを駆使して、付加価値の高いビジネスを追求します。

※PROナビ:弊社開発の組織営業力強化システム

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙