「大手ベンダーの見積りにお金の匂いを感じない・・・」これは、弊社取引先のお客様がふと漏らさられた言葉ですが、「お金の匂い」というのは決して俗物的な意味ではありません。

あるメディアが実施した経営者を対象としたアンケートによると、経営者の一番の悩みは「資金繰り」で二番目が「人材」という結果だったそうです。弊社では、組織営業力強化を主眼にした企業向けのトップアプローチ研修・新規アプローチ研修を行っていますが、研修の中で「資金繰りとはどのような意味ですか?」と質問をしても、正確に答えられる受講者は非常に少ないのが実状です。

つまり、経営者の一番の悩みは「資金繰り」であるにもかかわらず、経営者にアプローチをする売り手側が「資金繰り」を理解していないというギャップが生じているのです。

営業側はお客様に対して提案・見積を提示しますが、お客様側は提示された内容のみを単純に検討するわけではありません。なぜなら発注・購入するためには資金を捻出する必要があるからです。当然ながらお客様側は、社内スタッフの人件費、店舗展開、製造機械、土地・建物への投資等、いろいろな資金需要を考慮して資金捻出のための判断をしなければなりません。例えば、企業において在庫管理や販売管理などの仕組みを導入するのは、単に業務の効率化というだけではありません。担当者の視点のみであればそれも正解なのですが、経営者の視点では、モノという資産を速やかに現金に変え、売掛金を早く回収し、売掛金という資産を現金に換えたいから在庫管理や販売管理を導入するのです。

企業は、いくらPL(損益計算書)で利益が出ていたとしても現金が不足すると存続できません。逆に、PLで赤字が出ていても現金がある限り倒産は回避できます。余談ですが、日本企業の社債発行額が、7~9月に4.5兆円まで増え、四半期ベースとしては過去最高を更新する見通しになったという記事が日本経済新聞に載っていました。これも「資金繰り」の一端です。

営業側がこのようにリアルな「資金繰り」の意味を理解していなければ、経営者の悩みや意図が通じない相手として捉えられ、経営者とのコミュニケーションに影響を及ぼす可能性があります。

冒頭の「お金の匂いを感じない」という言葉の背景には、「大手ベンダーの見積りには、会社の資金繰りの苦労も感じられないし、そんな悩みを理解しようという意図も感じられない」ということが含まれているのです。

手前味噌ですが、弊社ではBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)を中心とした財務知識の習得を、営業、SE、スタッフ関係なく4~5年かけて実施しました。学んだBS、PLの知識を実践で使えるように、PROナビ(※)の商談情報に財務的視点も加えて入力することで、弊社内では一般知識として浸透し、お客様対応のスキルとしてのみでなく、社内投資などの議論に関しても上司と部下、部署間共通のプラットフォームとなっています。
※PROナビ・・・弊社開発の組織営業力強化システム

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙