事実に基づいた経営 ~経営の効率化への第一歩~【アスクラボメールマガジン2016年7月4日号】

■利益は出ているが会社のリスクが増大した

過去の弊社は「営業数字」が大前提となるマネジメントを行っていました。社内会議においても、予算に対して未達の部署や個人に「できなかった理由」を追求していましたが、好景気という時代背景もあり、そのようなマネジメントでも利益は出ていました。しかし、そんな表面上の数字・利益に隠れて、当時の弊社は大きなビジネスリスクを抱えていました。

当時は、お客様の要望(リクエスト)に応えることが営業活動の中心となっていたため、営業スタッフは既存顧客に群がるような営業活動をしていました。また、システム開発の仕事が増加するにつれて日常的にトラブルが発生し、「システム導入後は技術の仕事」というスタンスの営業に対して、技術スタッフはその対応に追われて常に負荷がかかる状況でした。

このような状況下、営業と技術の部署間には大きな壁が生じ、加えて部署や個人を数字で追求するマネジメントにより、部署間および上司との間に不信感も生じ、スタッフの大半は疲弊しモチベーションも低下していました。数字上の利益は出ていましたが、目先の対応に追われ、将来の収入源確保のための新たな行動や新たな技術の習得、新たなビジネスモデルの構築にはほとんど手が打てず、企業を継続していく上でのリスクが増大していたのです。

■アスクラボのビジネスと市場ニーズのギャップ

数年もすると地域の市場ニーズは大きく変化し、弊社を取り巻くビジネス環境も変化しました。システムのスクラッチ開発案件は減少し、メイン顧客のビジネス環境も変化し、弊社に求められるマネジメントも大きく変化したのです。ネットワークやメディアの発達は距離や地域の差を無くし、お客様が取引先を選択する際の考え方自体も変化しました。
しかし弊社では、数字中心のマネジメント、既存顧客相手の営業活動、スクラッチ開発中心の体制を変えることができないまま過去の取引や人脈頼りの変化のない行動で、同じ技術や同じビジネスモデルで進化のないまま過ごしていたのです。このままでは市場の変化に対して弊社のビジネスは乖離し、その溝は広がるばかりで企業としてのリスクは増大し続けると、明確な危機感を持ちました。

 
■無駄な工数を削減して商品開発へ

リスク増大の危機的状況の中、私は「地域限定・既存顧客頼りのシステムのスクラッチ開発」から「全国に販売するPKGメーカ」を目指すことを決めました。それは、経費の上昇を抑えながら、限られた人数で、現状の数字を追いかけながら、将来に対して手を打つという決断でした。その決断により各スタッフの「時間」を作る必要があるため、先ず「取り繕い」や
「先延ばし」といった社内の無駄な時間を見直しました。

1.裏付けのない数字の管理でせめぎ合う会議の時間の削減
2.何も決まらない、何も決められない会議自体の削減
3.会社や上司に対して、その場逃れで報告するためだけの資料作りの工数削減

これらを追及した結果、従来の「数字大前提のマネジメント」ではなく、「事実に基づくマネジメント」こそが、効率的かつ経費削減であることを再認識しました。そして、削減した時間・工数で自社PKGである「PROナビ」(組織営業力強化システム)を開発し、弊社サービスコンテンツの一つである「営業力強化研修」を商品化しました。

「PROナビ」は、営業の現場、技術の現場、管理の現場の事実を知り、それを情報として全社・各スタッフで共有(見える化)することで、市場のニーズに追従していくことができるシステムです。事実を共有することで、結果として企業コンプライアンスの向上にもつながり、弊社が経験した企業リスク増大においても、その抑制・削減に効果をもたらしていると感じています。

                      アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙